ヤバいでしょ? なんせ自分で「ヤバい定食屋さん」と言ってるくらいだし。実際、とてもヤバい定食屋です。
昼猫にご飯~そそる定食
学芸大学駅から徒歩2分。東口を出て恭文堂書店を右折、ずっと真っ直ぐ行った右手に「ごはんや ねこにこばん(猫にこ飯゛)」というお店があります。2017年4月24日にオープンした定食屋です。昼も夜もやっています。
オープン日の昼過ぎに行ってみました。
店名通り、いたるところに猫。
地面にも猫。なぜ猫にこ飯(ねこにこばん)かというと、店主が猫好きでダジャレ好きだから。
店内は小さな2人掛けテーブル席が2つ、カウンター席が8つほど。
なぞなぞイラストがあったり、漫画があったり、おもちゃのようなものがあったり。たぶん、年月を重ねるともっともっと増えていくんだろうな。
メニューも猫とダジャレで溢れ返っています。メニューを見ているだけで楽しい。単にダジャレ云々ということではなく、ワクワクさせてくれるんです。並んでいるのはすべて、誰もが大好きなメニューばかり。これはうまそうだ、これはどう調理してるんだろう、こういうラインアップにするんだ――店の思いが溢れ出ていて、こちらにいろいろなことを想像させてくれます。
そして、学芸大学で飲み歩いている方なら、メニューのこのテイストに見覚えがあると思います。
学大酒場エビス参。同店のメニューもこんな感じです。というのも、ねこにこばんの店主・山元さんは学大酒場エビス参の元店長だから。山元さんが現在の学大酒場エビス参の礎を築いたと言っても過言ではありません。
噂をすればなんとやら。
偶然、学大酒場エビス参チームが花を持ってやって来ました。現店長・まみぞーさんの嬉しそうなことw
さて、注文していた豚ばら生姜焼(750円)がやって来ました。
ロースもいいけど、バラのあまーい生姜焼きが大好き。しょうが焼きはしっかり焼きつけなきゃいかんのです。この生姜焼きもそうなっていました。そして、しょうが焼きには絶対、キャベツ・マヨネーズが付くべきなんです。しょうが焼きの甘辛いタレとマヨネーズが入り混らずに、何がしょうが焼きですか。
定食のご飯はお代わりも大盛りも無料です。今回は普通盛りにしました。濃厚なしょうが焼き、マヨキャベ、シャクシャクとした食感を残した玉ねぎとモヤシ。ご飯はあっという間になくなりました。
「エビス参で店長(山元さん)が作っていたまかないが本当においしくて。またあれが食べられるのが楽しみ」
まだ、ねこにこばんができる前にまみぞーさんがこんなことを言っていました。うん、確かにこりゃうまい。特別凝ったことをしてるわけじゃない。シンプルで誰が食べてもホッとする味。だけど、だからこそいい。
私は山元さんと面識があるわけではありません。もちろん知ってはいましたが、話したのは今回が初めて。
「オープンおめでとうございます」
「ありがとうございます。よくお見かけしますね(笑) 話はまみさんからよく聞いてます」
「ははは(笑) ずっと通しですか?」
「いえ、準備などがあるので、とりあえず3時から5時は休もうかと。終電で帰って来て、いつも松屋というのが私自身が嫌で、終電で帰って来てもちゃんと食べられるようなお店を作りたいな、と。だから深夜2時まで開けることにしたんです。何かダメなところがあったら、ビシビシ書いて下さい(笑)」
ダメなところ、か。あえてひとつ挙げるとするなら、これ以上俺を惑わさないでくれ、と。学大で通いたい店をもう増やさないでくれ、とw
※営業時間が変わりました。詳細は下記をご覧下さい
「ごちそうさまでした。おいしかったです。また夜も来ます」
「ありがとうございました」
ニコニコとした穏やかな笑顔に見送られ店を出ました。
ああ、そうだ。「ねこにこばん」ができる前、ここは寿し庄というお寿司屋さんで、そこの大将と女将さんも本当にいっつもニコニコしてたなぁ。寿し庄のあとにねこにこばんができてくれてよかったな。
……と、穏やかにいられたのもここまで。
夜猫にご飯~人をダメにする酒肴
翌日、夜に来てみました。
昼はかわいらしいカフェのような雰囲気もあるのですが、夜はライトアップされてムーディー。
と言っても、メニューがあれですからね。いきなり「君の前々々菜」。そのくだらなさに脱帽。じゃなくて脱力w 遠慮なくワイワイやっちゃいましょう。ちなみに、お店は終電後までやっているので、仕事で遅くなった日でもしっかり晩御飯を頂けます。
まずはビールを飲みつつポテサラ(250円)。器はやっぱりネコ。
完璧。くっそうめぇ。やばい。細かく賽の目に刻んだポテトとペースト状のポテトが混ざってます。玉ねぎが食感のアクセントを出しています。惜しみなくコンビーフが使われています。ポテサラに正解があるとするならこれです。まじうまい。
で。
自家製辣油なんてあればこうするに決まってるじゃん? この辣油がまたえげつない。だめだよこれ。花椒がしっかりきいてて、辛くて、香ばしくて、そしてサクサク。そう、サクサクなんです。天かす?と思ったのですが、聞いたらちょっと違いました。気になる人は聞いてみて下さい。
止まりません。このままずっと食っていたい。ああ、「何かだめなところ」ね。うん、これだめ。
鶏のから揚げ(400円)はボリュームがあって、これまた超うまい。
当然、こうなるよね。だからダメなんだって。あーあ。勘弁して下さい。
※追記:食べる醤油、食べる辣油はお試し一杯無料、追加一杯50円10円となりました。販売も始まりました。詳細はお店でお問い合わせを。
サービスで頂いたこれは、麻婆豆腐が餃子の皮に包まれて焼かれたもの。なるほどね。こんなの余裕で10枚食える。いや、50枚いけるな。まっじうまい。
二杯目は塩レオンさわ(ママ)。レモンの爽やかさに続き、後味はまろやかな塩。口内がほんの少し塩気を帯びます。ちょうど何かつまみを口にしたような感じ。となると、もうひと口飲みたくなります。するとやはりちょっぴり塩気。だからまた飲む……。
この一杯がそれだけで酒&肴のエンドレスループ。これもダメだ。私はもう二度と頼まない。なぜなら止まらないから。危険だから。うますぎるから。
「ネコが好きなんですね」
「本当は飼いたいんですけどなかなか。後藤さんはネコお好きですか?」
「そうですねぇ。飼ってます。学大で後藤と呼ばれるとくすぐったいので、ひろぽんでお願いします(笑)」
「そうだ。これ」
「まみさんがくれたんです(※左)」
「はは。かわいいですね」
「twitterとか見てると、まみさんみたいなタイプかと思ってたんですが、印象が違いますね(笑)」
「えええ? どういう風に見えるんだろうな。こんな感じですよ(笑)」
二人して、まみぞーさんをどんなだと思ってんだwww
「まだ二日目ですし、今週(オープンした週)はヘルプ入ってもらってますし、今後、一人でどうなるかわからないんですけどね」
おそらくナチュラルにそうおっしゃったんでしょうけど、ここはちゃんと書いとけよってことでもあるな。営業時間にせよ、メニュー構成(値段含む)にせよ、何にせよ、今後、変わるかもしれないので、その点はご了承下さい。ここに限らずだけど。
ほんといい人だな。いい人過ぎて心配になるほど。いや、そこまで内情を言わんでいいだろってことまでしゃべってる。よくまあ、ここまで騙されずに、このひと生きてきたな。そう思うほどw 女性ファンが多いというのもよくわかります。なんか癒される。
何かだめなところ――全部だめ。くっそうめぇ料理も、癒しキャラも、ホッとする店の雰囲気も、全部だめ。すべてが素晴らしく心地よくて人をだめにします。
完全なるライバル店が増えてしまった
くれぐれも【ねこにこ飯】だけの常連にはならないでくださいませ
by まみぞーさん photo by 俺w
もちろん半ば冗談で言っているわけですが、けど、実際にねこにこばんへ行くと、これが冗談に聞こえない。こんな店ができちまったら、通う人も大勢出てくるだろうなぁ。
これだよ。これが本当にいい店なんだよ。もしダメになっていいなら、行ってみて下さい。私はダメになったし、今後もダメになりに行きます。
追記。別日に食べた鶏と野菜の甘酢にゃん。ボリュームがすごい。もちろん超うまい。料理が上手。プロに向かって……と思うかもしれませんが、これってすごいことなんです。おいしいお店はいくらでもある。けど、「上手だなぁ」と感心させられる店はそう多くはない。
メニューはその時々で変わります。にしても、このメニュー数! 料理上手じゃないと、こんなことできません。
築地から取り寄せた銀むつのカマ。えげつないうまさ。
「お店として何か特徴を出したくて、築地から……」
なにをおっしゃいますやら。この店は特徴だらけじゃないですかw いやはや、今回もやられました。
溢れすぎているねこにこばん
定食で一番人気、平目バター醤油。そりゃもちろんおいしいさ。けどね、これにケッパーが使われていることに果たしてどれだけの人が気づいているか。この店で、このメニューでケッパーを使いますかね。この一事をもって、この店のクソやばさがわかる。
週替わり定食から、ジャンボ鯵フライと唐揚げ定食。そのメニュー名に偽りなし。本当にジャンボなアジフライ。身はフワフワで衣はサクサク。唐揚げの味付けも悪魔的。男子でもお腹がはちきれそうになる量。えげつない。
フライやハンバーグがテンコ盛な大人様ランチ。他でも見かけなくはない。けど、ワンオペの混雑店でこれやりますかね。自分の首を絞めかねないメニュー構成。やっぱりこの人おかしいよ。
店頭、店内には物が溢れかえってます。カオスなんだけど、何度も来ているとこれが妙にしっくり来る。この人、この店にピッタリ。
気持ちが溢れ返ってる。溢れてるってのに、常に蛇口は開きっぱなし。仮にそうだとしても、普通は少々の恥じらいを感じて隠すもの。けど、この店は隠さない。溢れたものをそのまま出す。垂れ流す。
愛が溢れてる? 確かにそれはそうなのかもしれません。けど、僕はちょっと違うようにも見える。この人は爆発するんだよ。爆発しないように溢れさせてるんだよ。
溢れさせることのできる場を持てたことは店主にとっては幸せだし、それより何より、その溢れ出たものが"愛"でしかないってんだから、逆におそろしいw そんな人が作る料理だよ? そりゃ過剰にうまいに決まってる。
学芸大学で一番ヤバい店
学大で500軒回った筆者が自信を持ってそう認定します。
※ワンオペです。人気店です。当然、混み具合によっては時間がかかったりすることもあります。当たり前。テーブル席やカウンターに残ってる前の客の食器類をまとめてあげるとか、おしぼりでテーブルを拭くとか、ほんの少しでも手伝ってあげてください。少なくとも焦らしたりイライラするようなことはしないように。だったら来るな、と。筆者からの勝手なお願いでした