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京風たこやき たこ坊(世田谷・宮の坂)のモチトロなたこ焼きはダシがきいていて食感が面白く、とてもおいしいです~京都弁の職人が解く、たこ焼きの4次方程式

学芸大学の某バーで飲んでいたら、たこ焼きの話題になりました。

「ひろぽんさんはどこが一番いいですか?」

天ぷら カブの店主・平田君。

「いやぁ、どこってわけでも。どこも好きだよ」

学大たこ焼きネタはこう答えておくのがいいんですw 実際どこも好きだし。

学芸大学のたこ焼きをめぐる仁義なき戦い~カリタコ 楽(旧白川)、花たこ、あほや、おいしいのはどこ!?

「学大じゃないけど、洗足池にある笛吹が好きだなぁ」

続けてカブのスタッフの大ちゃんがこんなことを。

「世田谷に一軒、うまいたこ焼き屋があるんですよ」

「世田谷って世田谷線の世田谷駅?」

「そうです」

「あー、もしかして、世田谷通りから駒沢公園通りにちょっと入ったところの店?」

「そうですそうです。めっちゃうまいんですよ」

「店自体は知ってるし、前も何度も通ってて気になってたんだけど、そうなんだ」

そんなことを言われたら行くしかないでしょう。

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世田谷線世田谷駅から徒歩3分。駒沢公園方面へと続く駒沢公園通り沿いに、一軒のたこ焼き屋があります。京風たこやき たこ坊です。

チーズ、ペッパー、ねぎ、いろいろなたこ焼きがありますが、初めてなのでスタンダードをお願いしました。

「こんにちはー。たこ焼きお願いします。6個で」

「いま焼いてるからちょっと時間かかりますけど」

「ぜんぜん大丈夫です」

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やってらっしゃるのは渋い感じのご主人。この白いシャツいいなぁ。夏だ。

「こちらはどれくらいになるんですか?」

「20年くらい」

「京風というくらいだから、京都のご出身なんですか?」

「ええ。こちらに出てきて30年。たこ焼きは東京に出てきてから。当時、たこ焼き言うてもどれも同じようなもんだって思われてたので、やってみようかと。たこ焼きは他にもあるから、目立つために京風とうたってみたんです。別に京都と大阪で違うというわけじゃないんですけどね」

「私も両親が京都なんですよ。室町と向日町です」

「そうですか。私は北の方、上賀茂です。帰るのは年に1度くらいですねぇ」

文字では書き起こしづらいのですが、穏やかで優しい、ゆったりとした京都弁をお話しになります。おふくろの家系がこんな感じなんだよなぁ。

のちに調べて、いくつかのことがわかりました。まず、2駅先の宮の坂にも店舗があります。ご主人の京都時代の友達もそこで働いてらっしゃるのだとか。次に、オープンしたのは1995年前後なんですが、本店が看板でも"京風たこ焼き"と謳いだしたのは2010年前後から。京都で料理人をやっていた友達が宮の坂店へやって来てダシを変えたのが、もしかしたらひとつの大きな転機だったのかもしれません。

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丸々とした大きなたこ焼きです。転がすごとに色づき丸くなっていきます。きれい。

「大きいですねぇ」

「こんな鉄板を作った方に感謝ですなぁ」

「商店街風情も残ってて、このあたりはいい雰囲気ですね」

「商店街といっても名ばかりですけど(笑) 私がこっちに来るより前は、賑わってたようですけどねぇ」

「ここで食べて行ってもいいですか?」

「もちろん、どうぞ」

「お勘定置いておきますね」

「はい、ありがとうございます」

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店の脇の通路に添えられたベンチに腰かけ食べます。おおお、うまい。そしてこの食感は面白い。

「モチっとしてておいしいですね」

「おもちが入ってるんじゃないかって言いはりますねぇ」

「ははは」

「小麦粉だけなんですけどね。考えてこうなったってわけじゃなくて、やっている内にこれに落ちついたというだけでして」

「こういうお店やってる方がよくおっしゃるんですよ。小麦もタコも高くなって大変だって」

「そうですねぇ。一度上がるとなかなか下がりませんねぇ。それに、全部が一気に上がるわけじゃなくて、ちょっとずつ、材料がそれぞれ上がっていくでしょう。そうしたらなかなか値上げできませんなぁ」

ご主人の話に耳を傾けながらも、舌はたこ焼きに集中します。

生地はダシがしっかりしています。モチっとしつつ、ほんの少しトロっ。この具合はきっと大きさに秘密があるんだろうな。

基本的には小麦粉と水分の割合が生地のゆるさを決めるのでしょう。混ぜ具合も仕上がりに影響を与えるかもしれません。そして大きさ。大きくて時間をかけて中までじっくり火を通していくから、堅くならずにモチっとなるんじゃないかなぁ。

小麦粉、水分、大きさの3次方程式。ああ、熱の入れ方・温度もあるか。4次方程式だ。長年の経験と勘でその解を見出したご主人。これこそまさに職人。

6個で500円というと高く感じるかもしれません。けど、この大きさを普通サイズのたこ焼きに換算したら8個分はあると思います。ですから、東京の一般的な相場としては高いわけじゃないと思います。それよりなにより、これだけおいしいんですから。

食べ終えた容器をお父さんに渡します。

「おいしかったです。ごちそうさまでした」

「ありがとうございました」

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世田谷線宮の坂駅にある「たこ坊 宮坂店」

学芸大学駅界隈にお住まいだと、世田谷(駅)方面は行く機会があまりないかもしれません。けど、世田谷区民でしたら、世田谷区役所へ行くことが時折あるかもしれません。私はわざわざ行く価値があるくらいおいしいと思いますが、自転車がないと大変でしょうから(今は真夏で暑いしw)、何かの機会がありましたら、「たこ坊」に寄ってみて下さい。優しいお父さんに癒されながら食べる、モッチリとしたたこ焼き、最高ですよ。

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