学芸大学駅から徒歩15分弱。中央中通り、清水商店会の南端近くに愛米家本舗(あいまいやほんぽ)というお米屋さんがあります。
※追記:2023年2月下旬から玄米おにぎり専門・愛米家キッチンカーを始めました。追記以上
店頭に「カブトエビ農法米」というのぼりが立っていて、前を通るたび、いっつも「何だろう」と気になっていたんですよねぇ。愛米家本舗ではお米を販売しているほか、おにぎりも販売しているので、おにぎりを買いに行ってみました。
店にいらっしゃったのは私と同じくらいの歳と思しき男性。目がキラッキラしてるw
「このカブトエビ農法ってどういうものなんですか?」
「合鴨農法はご存知ですか?」
「ええ。合鴨を放して、害虫を食べさせてりするんですよね」
「そうです。それと同じようなことで、カブトエビも害虫や雑草の根を食べてくれるんです」
「へぇ。あんなに小さいのに、そんなことまでしてくれるんですか。じゃあ、ここにあるおにぎりやお米も、カブトエビ農法で作られたものなんですか?」
「すべてというわけじゃないんですけど。カブトエビが生きていくためには農薬も使えないので……」
「結構、大変なんですねぇ。ちなみに、こちらはどれくらいになるんですか?」
「創業自体は戦後間もなく。ここに移って来てから11年です」
帰って公式サイトを見てみました。清水精米所(目黒通りを渡った辺りにあった?)として営業してきて、2005年、現在地に愛米家本舗が設立されたようです。この方は4代目。ごはんソムリエとお米マイスター(三ツ星)の資格を持ってらっしゃるのだとか。なんかめっちゃいい人。
おそらくですが、米穀小売業者数と国民一人あたりの米消費量は減少傾向で、米価は上昇傾向にあるような感じです。サラっと調べた限りは。中央中通りにあった野々山精米店も今年閉業しました。単にお米を販売するってだけじゃ厳しいと思うんです。けど、そんな中でもこうして続いているってことは、それだけいろいろと努力・工夫をなさっているからなのでしょうね。
炊き込みご飯も合わせると約10種ほどのおにぎりがあります。
「じゃあ、おにぎりを……どれがいいかな。炊き込みご飯もおいしそうだけど、せっかくだし、お米の味がよくわかるプレーンなのがいいな」
というわけで、鮭と葉とうがらしをチョイス。その場ではまったく気に留めてなかったのですが、おそらく日によって使われているお米が違うと思います。その日は山梨県産の五百川(ごひゃくがわ)というお米でした。
五百川はもともと福島県でコシヒカリの突然変異種として発見されたものだそう(2003年)。これが山梨県でも生産されるようになり、昨年、2016年に山梨県の選択銘柄として認可されたとのこと。まさにブランニュー。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました。また寄らせて頂きますね」
店を一歩出て、あっと気づきました。
「ここにもカブトエビいるんですか?」
店頭にはメダカがいっぱいいます。もしかしたらカブトエビもいるのかな?と。
「こちらに……」
あれ? 小さい頃、田んぼなどで見ていたカブトエビと違うな。こんなに大きかったっけ? それに赤いぞ。半透明の茶色っぽい色だと思ってたんだけど。
これまた帰って調べわかったことなんですが、日本には3種のカブトエビが棲息しているそう。
- アメリカカブトエビ:関東以西
- ヨーロッパカブトエビ:山形県、長野県
- アジアカブトエビ:鳥取、近畿地方
そして、ヨーロッパカブトエビの突然変異で赤い体の紅カブトエビというのもいるらしい。これは紅カブトエビなのかな?
それはさて置き。
近くの公園で食べることにしました。
少し丸みを帯びた平べったい三角形。フィルムをむいてみると、2方の口が開いていました。ですから、フィルムを少しめくれば、手を汚さずそのまま食べられます。
まずは鮭をひと口。めっちゃうまい。ほんとうまい。米一粒一粒がしっかりしています。これは炊き方によるのか、冷めておのずと締まったのか、あるいは五百川の特徴なのか、新米だからか。炊きたてのふっくらモッチリご飯の柔らかさを10とすると、これは7くらい。おにぎりとして最高の堅さです。風味もしっかりしていて、ちょうどいい塩梅。
そして葉とうがらし。これはやばいです。もし愛米家本舗でおにぎりを買う機会があったら、絶対一度は食べてほしい。ピリ辛の葉とうがらしが激ウマです。
米の具合、握り加減、味付け、すべてが素晴らしい。あまりにもおいしくて、じっくり観察することもせず、一瞬で食べきってしまいました。
学芸大学駅界隈だと飯塚精米店のおむすびがメディアにもよく取り上げられて有名です。ちょっと駅からは遠いですが、ぜひぜひ愛米家本舗のおにぎりも試してみて下さい。米が違えば味も違うでしょうから、毎日、100%同じということはないのでしょう。でも、それがまたいいじゃないですか。
「前回より今回のほうがしっとりしてるな」
「こっちのほうが甘みがあるぞ。なんていう米だろう。試しに米も買ってみようかな」
そんなのもまた楽しいですしね。
余談ですが、飯塚精米店はおむすび、愛米家本舗はおにぎりです。すずきもおにぎりか。基本的には呼び方の差だけなのですが、言葉の起源は諸説あるようです。面白いので、もしよければ。
SHOP DATA
- 愛米屋本舗(あいまいやほんぽ)
- 東京都目黒区中央町1-3-8
- 03-3712-7025