学芸大学駅から徒歩2分。東口商店街沿いに学大ますもと/Gakudai MASUMOTO Saké & Apéroというお店があります。スタンディングバーを併設した酒屋です。2020年2月27日にオープンしました。
母体は五本木のますもと。ワインと日本酒で有名な酒屋です。昭和8年(1933年)創業の老舗。
ここはもともとESPOAひのや(日野屋酒店)でした(サンビームプラザビルの右半分はひのやがオーナー)。2019年6月25日に閉店して、直後には五本木ますもとが2号店を出すことが決まっていたようです。
「ウチ辞めるから、ますもとさんどう?」
そんな話があったんじゃないかと妄想しています。あくまでも妄想です。
日野屋跡は決定。まだ言えないけど、面白いよ。あるひとひねりを加えてくれたらさらに面白いことになりそう。オープンは年明けかな。 #学芸大学 #学大
— 後藤ひろし(ひろぽん) (@gokky_510) September 22, 2019
2019年9月、ますもとができるとわかった時点で、「角打ちがあればいいのになぁ」と思っていたのですが、その通りになって嬉しいw
酒屋の店内において、その酒屋で買った酒を飲むこと。また、それができる酒屋のこと。
手前が酒屋、奥がスタンディングバー。
酒販スペースの半分はワイン、半分は日本酒。焼酎も少し。
酒屋でお酒を買う楽しさって会話だと思うんです。まだ知らぬ味と出会うためにはお酒に詳しいスタッフとの会話が重要になってきます。
「○○が好きでいつもよく飲んでるんですが、似たタイプで何かありますか?」
とかね。こうして選んだお酒は一層おいしく感じられます。自分の勘だけでジャケ買いのごとく買ってみるってのも面白くはあるんですがw
以下はスタンディングバーについて。
カウンターとテーブルがあります。
オープン日はシャンパンだけ。数種あったようですが、私が行った時点であったのはモエシャンドン(550円)。ちょっとしたおつまみもありました。
スタッフの何人かは胸にバッジがついていました。おそらくはソムリエ資格のバッジでしょう。一切音を出さずにシャンパンを抜栓。コルクでブショネを確認。少量を口に含み「OKです」。かっこいい……。
今後ですが、スタンディングバーとして店が用意したお酒(ワインや日本酒がメイン?)を飲むこともできますし、角打ちとして購入したお酒をここで飲めるようにもなるそう。つまみももっと増えていきます。
「落ち着いてきて、どれくらいの反応をいただけるかを見つつ、1ヶ月後くらいには本格的に始められたら……」
といったことをスタッフの方がおっしゃっていました。
角打ちの場合、購入代金だけでいいのか、グラス代、チャージ的なものが必要なのか、まだ不明なことがいっぱいあります。状況を見つつ、新たなことがわかりましたら、追記・修正していきます。
待ち合わせ時間やディナーを予定している店の開店まで少し間がある。そんな時にサクッと寄って時間が潰せる。あるいはカウンターにつけばソムリエにワインを教えてもらえる。そんなスペースになるとありがたいですねー。
升本の歴史と暖簾分け
升本/ますもとという酒屋が日本全国にたくさんあります。すべてとは言いませんが、そのほとんどは"暖簾分け"です。
天明年間(1781年~1789年)に伊勢(現在の三重県度会郡)から江戸に出てきた松本幸次郎が四谷大番町にて酒商を創業します。これが現在の升本総本店の始まりです。
弘化4年~5年(1847年~1848年)、その孫が舛本喜兵衛と称し、酒商を再興。もしかしたらこの頃に升本という屋号になったのかもしれません。
升本総本店は市ヶ谷薬王寺前町→牛込揚場町・軽子坂→津久戸町→現在地・筑土八幡町御殿坂と移転していきます。おおよそすべて神楽坂界隈ですね。
升本総本店はどんどん暖簾分けしていき、暖簾分けした店からも暖簾分けが出てきます。五本木ますもとも同様です。
昭和8年(1933年) 初代辰蔵が修行先であった新宿牛込 本家「升本」からのれん分けにより、五本木の地に『升本酒店』を創業いたしました。
新宿牛込 本家「升本」はこの升本総本家を指すと思われます。なお、升本総本家は問屋です。小売りはしていません。
ちなみに、酒屋では三河屋、伊勢屋、伊勢元といった屋号もよく目にします。三軒茶屋には2軒の伊勢元がありますよね。これらも基本的には暖簾分けです。中にはこれにあやかって勝手に自称していることもあるでしょうけど。
参考サイト/升本総本店:各地の「升本」さん
酒屋のテロワール
継承された哲学と伝統、そしてテロワール。造り手の「個性」と「想い」を大切に伝えたい。
五本木ますもとが掲げるキャッチフレーズです。
テロワール(Terroir)とは、「土地」を意味するフランス語terreから派生した言葉である。もともとはワイン、コーヒー、茶などの品種における、生育地の地理、地勢、気候による特徴を指すフランス語である。同じ地域の農地は土壌、気候、地形、農業技術が共通するため、作物にその土地特有の性格を与える。
日本語では「テロワール」と片仮名転写してそのまま用いられているが、その作物における「生育環境」とでもいうことができる。
酒屋に限らずですが、個人商店が減少しつつある中、五本木ますもとが2号店を構えることができたというのは、こういう理念があるからでしょう。単に日本酒やワインを売るというだけではなく、生産者の"想い"を消費者へ伝える仲介役なんだという意識。
もうひとつ。生産者だけのことではありません。どこまで意識しているかはわかりませんが、五本木ますもと自体も同じことです。約90年間、五本木ますもとは代々、他店とは少し違うやり方で酒の魅力・酒への想いを子供たちに、客に伝えてきました。
また、五本木ますもとは五本木を愛しています。地元に根付いたお店にしようと、地域と密接にかかわりを持とうとしてきました。地域を愛する、だから地域に愛される――個人商店のテロワール。
今回、鷹番の目抜き通りへとやって来た五本木ますもと。これまで以上に界隈の人たちと接する機会が増えると思うんです。スタンディングバーまでありますしね。ぜひ、地元の人たちに愛される学大ならではのお店になってもらいたいと思うのですが、まぁ、90年も地元でやって来ている老舗に対して、なんちゅう釈迦に説法。僭越に過ぎる蛇足ですなw
SHOP DATA
- 学大ますもと Saké&Apéro
- 東京都目黒区鷹番2-19-23 サンビームプラザ1F
- 03-3710-2020
店名 | 五本木ますもと |
住所 | 東京都目黒区五本木1-41-5 |
電話番号 | 03-3712-1250 |
営業時間 | 平日10:00~20:00 日祝祭日10:00~19:00 |
定休日 | 月曜日 |
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