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信八(学芸大学)に流れる穏やかな時間~魚がおいしいほっこりする老舗居酒屋。〆サバが過去最高にうまかった!

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学芸大学駅から徒歩10分弱。東口商店街を抜けたバス通り(都道420号)沿いにあるインディーズ居酒屋・信八(しんぱち)。

ご夫婦でやってらっしゃいます。とても穏やかなお二人。

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店内は基本的にカウンターなのですが、奥には座敷席のある部屋もあります。

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刺身をはじめとする魚料理と天ぷらがメイン。

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お通しのアジの南蛮漬け。いい塩梅。これだけでご主人のすごさがわかります。

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息を呑むほど美しいサンマの刺身。

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信八は天ぷらもおいしいと評判。確かにこりゃいいや。けどね。

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浅めに〆られたサバは記憶にないほどうまい。ちなみに私の好きな魚介ベスト3はサバ、タコ、ウニ。回転寿司で〆サバだけ20皿(40貫)食って、あたったことがあるくらいサバが好きです。こんなにもサバ、〆サバを食べてきたというのに、信八の〆サバはそれらすべてを凌駕しました。

あああ。こうした肴でチビチビと日本酒をすする至福…。

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隣の常連さんたちの会話をBGMに、まだ2度目の新参者はゆっくりと店内の様子をうかがいます。

サッカー、野球、相撲のグッズが目につきますから、お父さんはスポーツ好きなのでしょうか。カレンダーは釣り。釣りが好きなのかもしれません。メニューにはとらふぐがありますから、もしかしたら昔はふぐ料理店で腕をふるっていたのかも? そういや、店の入り口上の電話番号は市内局番が3ケタだったな。このお店も相当古いし、ここまで続くってことは、やっぱりいい店なんだろうなぁ。

そんな想像をしている横で、少々酔いが回った常連さんたちは、丁々発止でやりあってます。ただ、決して下品じゃないし、嫌な感じはしません。いい酔い方です。

そんな光景をほほえましく横目にしていたら、お父さんは心配そうにチラチラとこちらをうかがいます。

「ぜんぜん大丈夫ですよ。悪い気はまったくしてませんから」

そんな気持ちを込め、新参者への気遣いを気遣いにさせないため、あえてお父さんとは目を合わせず、少し微笑みながら日本酒をチビリ。ああ、なんて穏やかな空間なんだろう。

客が店を作るとよく言います。しかし、店も客を作ります。「信八」はそんなことがよくわかる居酒屋です。穏やかなご夫婦が作りだす穏やかな時間は、穏やかな客を惹きつけ、穏やかに過ぎてゆきます。

信八の見事な仕事

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その後、いくつかのことが判明しました。マスターはもともと有名な料亭で腕をふるってらっしゃったそう。

上述の丁々発止でやっていた二人は、あとで思い返すと中川(2021年3月閉店)のりえちゃんと中川の常連でもあった英二郎さんだったかもしれません(あの当時は二人のことを知らなかった。お二人とももう亡くなってます)。

この刺身は中川の最終日に振る舞われた信八の刺身。学芸大学でもっとも古い飲み屋だった中川の先代(りえちゃんのおばあちゃん)時代=十字街時代から信八と中川は懇意にしていたのだとか。

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お通し。山菜、魚のアラ、たらこが和えられたもの。アラが入っているので、わずかに煮こごりのようなものができています。深い味わい。

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大きな玉子焼きは甘めの味付け。ほっこり。

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相変わらずおいしい天ぷらの盛り合わせ。いんげんの天ぷらは隣の常連のお父さんからのおすそ分け。

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石がき鯛の刺身は白身ながらもうまみが強く、コリっといい歯ごたえ。

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前回よりも少し強めに〆ったサバ。やっぱり最高。

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出てきた瞬間、固まりました。これは……。

垂直に立てられた胸びれ。丁寧に広げられた尾びれ、背びれ。しっかりと化粧塩がされています。焦がさないためです。

ヒレも魚体も一切焦げていない。火の加減、火との距離の取り方が絶妙なのでしょう。そして、おそらくは目を離さず集中して焼いていたはずです。常連さんからビールをもらい、カウンターを相手にしながら、焼き物に細心の注意を払う。すごい。

そして見逃せないのが串打ちです。波串、踊り串、縫い串、言い方はいろいろあるのですが、縫うようにして串を打って焼き上げています。焼き魚に躍動感を与える技法。塩焼きひとつに、どれだけ手が掛けられているか……。

焼き物、刺身、天ぷら、どの料理にも確かな職人の技が加えられ、これを目の当たりにするにつけ、感嘆させられます。

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中川でもたまにお目にかかっていた先輩から焼酎やらウィスキーやらをごちそうになりました。

ああ、なんて幸せな空間なんだろう。

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