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チーズ専門店 ユーロアール/Euro Art(学芸大学)のチーズは最適に熟成されていて個性豊か。ワインはもちろん日本酒にもピッタリ!スリーズベールと益荒男 山廃純米 極のマリアージュがえげつなかった

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学芸大学駅から徒歩5分。西口を出てすぐ右手、線路沿いをずっと真っ直ぐ行き、都道420号を五本木方面へ向かうと、チーズ専門店 ユーロアール(Euro Art)というお店があります。

創業はおそらく2001年。最初は祐天寺に店を構え、2004年秋ごろに現在地、五本木交差点近く(目黒区中央町2)に移って来ました。

店主・鈴木荒太さんは1997年から3年間、フランス・ブルゴーニュのチーズ生産者のもとで経験を積み、帰国後に同店をオープンさせました。Euro Artはヨーロッパの芸術という意味です。

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まさにヨーロッパにでもありそうな落ちついた雰囲気のお店。店内にはチーズのいい香りが充満しています。いつも男性(鈴木さん)と女性がいるのですが、ご夫婦なのかな?

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ケースの中にはチーズがいっぱい。迷ってしまいそうですが、ゆっくり見てみて下さい。ひとつずつ丁寧に説明が書かれていますし、「当店は初めてですか?」「何かありましたら、ご説明致しますので、声をおかけ下さい」など、とても親切に対応してくれるので、チーズのことがぜんぜんわからなくても大丈夫。

いろいろな種類のチーズが少量ずつ寄せ集められたセットがあって、あれもいいんですよねぇ。名前なんていったっけかな。すっごくお得なので、最初は試しにそれを買ってみてもいいかもしれません。

ユーロアールのチーズのもっとも大きな特徴は熟成です。少し長いですが、とても興味深い内容なので、ユーロアールのパンフレットにしたためられた文章をご紹介してみます。

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ユーロアールについて
~至高の美味、発酵食品チーズに魅せられて~

輸入したチーズを鮮度優先で販売する……。それが一般的な販売の形なのかもしれません。しかし私は、チーズを含む発酵食品本来の美味しさは熟成というプロセスを経て完成されると考えています。

「名もなき熟成士たちにより、チーズの旨みは最大限に表現される」

若き日、本場フランスで彼らとともに仕事をするなかで熟成の大切さを強くそして深く感じました。

到着したばかりのチーズは、多くの場合、過多水状態であったりまだ芯があるなど、本来のおいしさが半分も出ていません。私流に云うところの、「長旅で疲れている」状態です。まずそれをおいしく食べられる状態にもっていくメインテナンスと追熟が必要になります。

チーズは人がつくるものではありません。自らの子孫を残すため微生物が行う日々の活動の結果現出するものにすぎません。

自然界の道理を大きく逸脱しない範囲で何ができるかと考えるのが、微生物に係わる私たちの仕事でもあります。毎日が新しい発見です。追うほどにその対象は遠ざかります。努力苦悩の結果が悟りではなく、苦悩している今、まさにその最中こそが真の悟りそのものだと感得します。日々精進です。

個性豊かなチーズに出会う空間、それが「フロマージュのオートクチュール」ユーロアール【Euro Art】です。

フランスには熟成士という職業があります。チーズ生産者が作ったチーズを自身の経験、センスで好みの熟成具合に仕上げる職人です。

フランスには国家最優秀職人賞(Meilleur Ouvrier de France/MOF)というものがあり、料理、製菓、パン、宝飾品、ガーデニングなどのフランス文化に携わる卓越した職人に贈られるのですが、熟成士にもMOFがあります。それほどフランスにおいては生活とチーズが密接につながっている、チーズの熟成というものが重要視されているということです。

話をユーロアールに戻しましょう。幾度か訪れ、そして購入しているのですが、数週間前に行ったら、学芸大学の某飲食店の方と鉢合わせ。なるほど、プロも利用してるんですね。あそこもいいお店だしなぁ。チーズひとつにもこだわってるんですね。

そして、以下は約1ヶ月前の話。学芸大学の某飲食店(すみません某某と。たぶん書いても差し障りはないと思うんですけどね)が縁となって知り合った方々が日本酒の会ってのをやっているんです。で、会の中心的な方と、まったくの別件で懇意にさせて頂いていて、日本酒の会にお呼ばれしました。

その際に日本酒と共に頂いたのがユーロアールのチーズでした。日本酒とチーズ! ビックリするかもしれませんが、これがえげつないほどうまい!

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ブルーチーズとミモザ(だったかな?)。ブルーチーズは何種もあるのですが、これがどれだったかは失念しました。

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スリーズベールはユーロアールを代表するチーズ。ブランデーにくぐらせたカマンベールを桜の葉で包んだものです。

まずはそのまま。うわぁ。うまっ。しっとりとしたスリーズベールはしっかりとした塩味(えんみ)がありつつコクがあります。ブルーチーズは青カビが尖っているのですが、それがむしろ心地いい。「熟成によってまろやかになる」と勝手に思っちゃうフシがあるのですが、そう簡単な話じゃないんでしょうね。どちらも旨みがギュッと凝縮されたインパクトのある味わいでした。

次に日本酒と合わせてみます。合わせるのはこれ。

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益荒男 山廃純米 極(鹿野酒造)。能登杜氏四天王の代表格とされる農口尚彦氏が鹿野酒造で最後に手掛けた逸品です。

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5年の熟成を経た益荒男 山廃純米 極は薄い琥珀色をしていて、ひと口で「ああ、熟成されてるんだなぁ」とわかるほどの独特の風味を醸し出しています。濃厚。

では、チーズを少し食べて、酒をクイッ。うわああ。なんじゃこりゃ!

どのチーズもコクがさらに高まり、芳醇な香りが鼻腔へブワッと広がっていきます。そして、カウンター気味にチーズの塩味(えんみ)を喰らった益荒男は甘みを増します。フルボディのボルドーに負けないマリアージュ。うますぎ。

妙によく合うなぁ。チーズと日本酒なんてトリッキーだと思ったんだけど。いや、よく考えてみたら、むしろこれはぜんぜんありえる取り合わせなのかもな。だって、両者ともに発酵食品。ワインだって発酵食品。しかも、日本酒はどんな食事にも合わせやすい酒。チーズにワインが合うのなら、日本酒だってね。

特にユーロアールの濃厚でガッツリしたチーズには、力強い益荒男 山廃純米 極がことさらよく合ったのかもしれません。益荒男も熟成されたお酒だし。実際、他の日本酒でも試してみたのですが、ユーロアール×益荒男の妙味を越える取り合わせは見つけられませんでした。

こちらは別日にある店で供されたユーロアールのチーズ。カビ系なのですが、正式名称は不明。チーズの塩味・クセが甘くて香ばしいレーズンのパンとぴったり。

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熟成のことを知りつくしたプロが手掛けるユーロアールの濃厚なチーズは、スーパー等で売られている普通のチーズとはひと味もふた味も違います。自宅用はもちろんお土産としてもいいですし、先述の通り、お店で供しても喜ばれると思います。

ユーロアールへ行って、「これにはどんなお酒が合いますかねぇ」なんて相談をしてみて下さい。あるいは逆に「こんなお酒があるんだけど、何が合いそうですか」と聞いてみてもいいかもしれません。親切にいろいろ教えてくれるはずです。

こうして買って来たチーズをお酒と一緒に頂くと、「チーズって熟成でこんなに変わるんだ」とビックリすることでしょう。あるいは、普段飲んでいる慣れ親しんだお酒の新しい表情に出会えるかもしれませんよ。

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