五島の糸(ますだ製麺)は作り手の心が伝わってくるような穏やかで優しい手延べそうめんです~五島列島と手延べ麺の歴史 - 肝臓公司(かんぞうこうし)

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五島の糸(ますだ製麺)は作り手の心が伝わってくるような穏やかで優しい手延べそうめんです~五島列島と手延べ麺の歴史

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今回食べてみるのは株式会社ますだ製麺の手延べそうめん・五島の糸。長崎県の五島列島は手延べうどんをはじめとする手延べ麺が名産です。このあたりのことは後ほど。

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成城石井 柿の木坂店で購入しました。388円/250g。一般的なそうめんの量・300gに換算すると465円。少しお高めです。

「成城石井だからねぇ」

と思っていたのですが、ますだ製麺のオンラインショップを見てみますと、350円でした。成城石井にしては良心的な価格w

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五島列島の手延べそうめん(手延べ麺)の特徴は五島列島の名産品・椿油が使われているということ。ただ、この五島の糸はなたね油、大豆油、椿油の3種が使われています。いろいろそうめんを食べてきましたが、3種の油が使われているのを目にしたのは初めてかもしれません。

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開封。

細めでよくしなります。写真では伝わりませんが、少し黄色味がかっています。

小麦の甘い香りがとても強いというのも印象的です。別に小麦の香りの強さとおいしさが比例するというわけではないのですが、甘い香りが強いそうめんはおいしいことが多いような気もします。

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茹で時間は約2分とあります。まずは2分弱。

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茹で上がりの細さは一般的な手延べそうめんとほぼ同じ。

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プリンとした穏やかな弾力です。中心部にはかすかなコシ。味わいは優しい。

五島はうどんが有名ですから、五島の糸もうどんぽいのかなぁと想像していたのですが、うどんぽさは一切ありません。食感・味わいはまごうことなき手延べそうめんです。

あえて似ているそうめんを挙げるとするなら、この優しさは島の光(小豆島)に通じるものがあるかもしれません。

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次は茹で時間を1分30秒強にしてみました。中心部のコシがわずかに強くなりました。けど、やはり優しい。

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とてもおいしかったです。作り手の心が伝わってくるような、温もりを感じさせるそうめんだと思いました。私はブチブチっという強い歯切れのするそうめんが好きなので星4としますが、穏やかで優しいそうめんが好き、という方には断然おすすめできます。

五島列島とそうめん

詳しく書くと本が一冊できてしまいますから簡単に。そしてわからないこともたくさんあるので正確性も保証できません。以下はざっくりとなんとなく読んでください。

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画像転載元/コトバンク:索餅

そうめん/素麺の原型と言われているのが索餅(さくべい)。奈良時代、遣唐使により唐から伝わった唐菓子です。これが都(奈良)に持ち帰られ、奈良の三輪がそうめん産地となり、そこから全国にそうめんの製法が伝わりました。

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五島列島は遣唐使のルート上にあります。ですから、五島列島にも中国からさまざまな技術・知識が伝わっていました。その内のひとつが索餅です(※1)。五島列島では古くから手延べ麺が生産されていたと言われています。

これが現在のような形のそうめんになったのは室町時代とも江戸時代とも言われています。ひとつの産業として認知され出したのは戦後、五島の手延べ麺が全国的に広く知れ渡ったのはつい最近のことです。

ひとつの転機となったのは2003年に放送された「TVチャンピオン うどん職人選手権」(テレビ東京)。稲庭、讃岐、加須、五島の代表者がうどんを作り競うという内容でした。

このうどん選手権に五島うどんの職人として出演していたのが、ますだ製麺の創業者である先代・舛田安男さん(2021年10月16日逝去)。讃岐うどんを破り、稲庭うどんに次ぐ準優勝を遂げることで、五島うどんが全国的に知られるようになりました。

五島列島と言えば五島うどん。そう知らしめたのがますだ製麺の創業者だったんですねぇ。

そうめんマニアの私としては

「五島列島にはうどんだけじゃなくて、そうめんもあるんだぜ」

と言いたいところなのですが、そうめん気運が徐々に盛り上がって来ていますから、まあ私なんかが言わずとも、おのずと五島手延べそうめんも五島手延べうどんに負けない知名度を獲得することでしょう。

なんせ、こんなにおいしいんですから。

参考/ますだ製麺公式サイト:ますや麺匠の挑戦 TVチャンピオンで讃岐うどんを破る

手打ちうどんと手延べうどん、手延べそうめんと機械麺そうめん

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画像参照元/石毛直道『麺の文化史』(講談社)

手打ちと手延べは系譜が異なります。手打ちは不托が起源とされる切り麺系統。手延べは索麺が起源とされる延べ麺の系統。

ここでよくわかるのは手打ちうどんと機械麺のうどんは切り麺という点では同じということ。一方、手延べそうめんと機械麺のそうめんは延べる/切るでまったく異なるということです。

当たり前ですが、機械麺そうめんが登場したのは製麺機が発明された明治以降です。

なお、文献上、そうめんに関するもっとも古い記述は8世紀、うどんに関しては15世紀に現れます。日本の歴史的には切り麺たるうどんよりも延べるそうめんのほうが古いと考えられています。

参考/味の素の文化センター:石毛直道食文化アーカイブス

最後に五島手延うどん協同組合の動画をご紹介。五島の手延べ麺の歴史(※2)が述べられていて、ますだ製麺の創業者・舛田安男さんのインタビューも見られます。

※1 索餅/索麺の話など細かいことは端折ってます。

※2 あくまでも、ある方の"主張"です。

DATA
名称五島の糸
原材料名小麦粉(国内製造)、食塩、なたね油、大豆油、椿油(一部に小麦・大豆を含む)
製造者株式会社ますだ製麺
評価★★★★☆