揖保乃糸 縒つむぎ(よりつむぎ) ひね。揖保乃糸の高級バージョンです。
揖保乃糸ブランドは兵庫県手延素麺協同組合のものです。同組合には兵庫県・揖保川流域の約400の生産者(製造業者)が所属していて、同組合が仕入れた小麦粉が各生産者に渡り、これで各生産者はそうめんを作ります。そして、各生産者のもとで作られたそうめんは同組合に送られ、同組合で検査・管理されて出荷されます。
各生産者は同組合が定める同一規格でそうめんを製造しているわけですが、これだけ多くの生産者がいるにもかかわらず、品質が一定なのは、同組合の厳格な品質管理/検査体制が敷かれているからです。そして、原材料の仕入れ・出荷を同組合が担うことで、安定して原材料を仕入れられ、ひいては安定して供給できます。
手延べそうめんにおける揖保乃糸の全国シェアは40%とも言われています。そうめんを扱うスーパーには必ず揖保乃糸(上級)があります。しかもこれが手延べそうめんの中でもトップクラスでおいしく、そして安い。よくよく考えてみれば、これは恐るべきことです。他の食品ジャンルにおいて、こんな商品は珍しいのではないでしょうか。
さて、揖保乃糸は小麦粉の質や細さ、製造時期などの違いによって、いくつかの等級に分かれます。
- 三神
- 特級
- 縒つむぎ(よりつむぎ)
- 播州小麦
- 熟成麺
- 上級
- 太づくり
そうめんを束ねる束紙の色が異なるのですが、私たちが普段よく目にしているのは赤帯の上級です。
「ひね」は一般的には古くなることを意味します。穀物や野菜、鶏においてもよく使われる言葉です。
そうめんにおいては製造後1年間熟成させたものを「古/ひね」、2年間熟成させたものを「大古/おおひね」と呼びます。これは全国乾麺協同組合連合会表示等のガイドラインに則った用語です。
そうめんの古物(ひねもの)はざっくり言うと、熟成によってでん粉やグルテンが変化し(厄現象)、風味や食感がよくなる"と言われています"。
参考
- 国立国会図書館デジタルコレクション:「調理科学 18」 手延素麺(著者・小川玄吾)
- J-STAGE:「日本食品工業学会誌 37巻(1990)10号」 手延素麺の厄現象に関する研究~厄による素麺の脂質構成の変化とその影響(著者・新原立子、米沢大造)
揖保乃糸 縒つむぎ ひねは国内産小麦だけを使用して、12月~翌3月までに製造された、太さが0.70~0.80mmの揖保乃糸です。
少し茶色味ががっています。細くてしなやか。香りは穏やかです。紫の束紙が高級感を醸し出しています。
茹で時間は1分半~2分となっていますが、1分半ではまだ茹で足りないと感じたので、2分弱茹でました。
茹で上がりはとても滑らか。細さは赤帯・上級との違いをさほど感じません。
まずはそのままひと口。風味も穏やかです。上級はプチプチっと小気味のいい歯切れなのですが、縒つむぎ ひねはムチっとした弾力を感じさせます。この差が原材料の違いによるものなのか、ひねだからなのかはよくわかりません。
1年熟成というと「風味が豊かなんじゃないか」とイメージするかもしれません。実際、パッケージ裏にも「さらに豊かなコシと風味を味わえます」と書かれています。
けど、私はそう感じませんでした。むしろ、上級よりおとなしい。よく言えば上品、悪く言えば物足りない。この商品は200gなので、300gに換算すると417円。上級より119円高いです(イオンスタイル碑文谷での売価)。揖保乃糸 縒つむぎ ひねにこの差分を出すだけの魅力は感じられませんでした。
もちろん、おいしいです。ただ、私にとって縒つむぎ ひねは優しすぎました。赤帯・上級のほうが好き。今回は星4。
名称 | 揖保乃糸 縒つむぎ ひね |
原材料名 | 小麦粉(小麦(北海道産))、食塩、食用植物油 |
製造者 | 兵庫県手延素麺協同組合 |
評価 | ★★★★☆ |