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弁当ウエノは唐揚げがメインの弁当・惣菜店。パンチのあるチキン南蛮、からあげは安くてボリューミー!~プロの理由を推し量る

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三軒茶屋駅から徒歩10分強。学芸大学駅、祐天寺駅、駒沢大学駅から徒歩20分前後。龍雲寺通り沿い、蛇崩川緑道の近くに弁当ウエノという弁当と惣菜のテイクアウト専門店があります(下馬2)。「じっぱひとからげ」という屋号も散見するのですが、正式には「ウエノ」です。2020年5月末にオープンしました。

Googleマップを見ていて、たまたま「じっぱひとからげ」という店を見つけました。こんなお店あったっけ? まあ、とりあえず行ってみよう。ホームページの写真はおいしそうだし。

※2023年4月2日追記:2022年10月28日に閉店しました。この店舗はもう原状回復されているので、再開の可能性もありますが、再開するとしたら他の場所になると思われます。追記以上

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龍雲寺通り沿いではあるのですが、上りつつカーブしている道なので、少し離れると視認しづらいかもしれません。ただ、昇りがでているので、近くまで来れば見逃すことはないでしょう。

看板には「ウエノ」。店頭にはメニューも張り出されています。

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「こんにちは。からあげ弁当を頂きたいのですが」

「すみません、ちょうどご飯がなくなったところでして。炊き上がるのに、あと30分くらいかかってしまうのですが……」

時間は14時ごろでした。昼の分がちょうどなくなる頃合いなのでしょう。変な時間に行った私が悪いw そのあたりをプラプラして、30分くらいは待てるのですが、これは待たない方がいいパターン。待たせてると思わせるのもアレだしね。

「じゃ、改めてまた来ますね。ここはちょいちょい通るんですが、まったく気づきませんでした。いつ頃オープンしたんですか?」

「5月末、コロナの非常事態終了後に」

「この前はどこかでやってらっしゃったんですか?」

「調布の伊勢丹でやってたんですが、伊勢丹が閉店しまして……」

帰って調べたところ、クイーンズ伊勢丹 調布店が閉店したのは2016年。ちょっと遠いな。ちなみに伊勢丹 府中店は2019年9月に閉店しています。これならわかる。調布と府中を聞き間違えたか? ま、いいやw

ということがあった約3週間後、再び弁当ウエノへ。

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「いらっしゃいませ」

「タルタルチキン南ばん弁当を頂きたいのですが、これに唐揚げを単品で追加することはできますか?」

この3週間で作戦を考えておいたのですよ、ふふふw

「はい、唐揚げはおいくつにしますか?」

「いくつ? あ、そうか。んー」

「だいたい3個で250円くらいになります」

「じゃあ、タルタルチキン南ばん弁当をチキンカツにして頂いて、からあげ単品3個をお願いします」

「今からお作りしますので、少々お待ちください」

メニューをよく見ると、「からあげ単品 100g ¥250(100gはだいたい3~4個です)」と書かれてますねw

揚げ物がパチパチ、チリチリといい音。

「ご飯は無料で大盛りにできますが」

「お願いします」

計りに弁当容器を乗せて、ご飯をよそいます。うほっ。まじか。ご飯が山のように盛られています。それをギュッとそっと押し込める。何グラムなんだろ。相当な量だな。

「どうしてこちらに?」

「揚げ物をするとなると、どうしても物件が限られてきまして、いろいろ探している中でこちらを」

「この辺りは飲食店がほとんどないですし、近くの人にとっては重宝だと思いますよ」

「みなさんにそう言って頂けて、本当にありがたいです。以前はそこにコンビニがあったんですか?」

「そうです。そこの角にあったんですけど、なくなりましたしねぇ」

コンビニもスーパーもない一帯。夜に開く飲食店は少しあるけど、気軽にサクッと寄れるという感じの店じゃないしなぁ。こういうお店が一軒でもあると、助かる人も多いだろうな。

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壁に貼られたカレンダーには「出張販売」と書き込まれています。こういうのを見逃さないw

「出張販売とありますね。どこでやられてるんですか?」

「こういう状況ですから、そういうことも。三宿にトウホウビルというビルがありまして、そこで働いている方向けにお弁当を販売させて頂いているんです」

池尻大橋に東邦大学(病院)があるのは知っています。けど、三宿のトウホウビルは調べてみてもわかりませんでした。なんだろな。ま、いいやw

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「こちらどうぞ。あ、お座りになってお待ちくださいね」

「いえ、こうして作っているところを見るのが楽しいので」

「そうですね(笑)」

この店主がクッソいい人。なんなの、この優しい感じ。心が洗われます。ちょっとタイプは異なりますが、ねこにこばん(学芸大学)の山元さんを思い出しました。

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丁寧に弁当を仕上げていく店主。ああ、パセリをパッパッじゃなくて、ネギを散らすんだ。もちろん他の弁当との兼ね合いがあってできることなんだろうけど、しっかり手をかけてくれるんだなぁ。

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単品からあげは量り売り。267円でした。合計867円。レシートには「じっぱひとからげ」とも書かれています。

「店名はじっぱひとからげなんですか?」

「いえ、いろいろ事情がありまして……。店名は弁当ウエノなんです」

何でも包み隠さず話す朗らかな店主が、唯一、言い淀みました。なんかあるのかな。商標とかそういうことではなさそう。ブランド名を分けたほうがいい特殊な事情があるとか? ま、いいやw

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」

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タルタルチキン南ばん弁当(600円)とからあげ(267円)。

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チキン南ばんは鶏むね肉なんですが、何かにしっかり漬け込まれていて、しっとりジューシーに仕上がっています。ボリューミー。

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からあげはもも肉。ガリっと堅めの衣にジューシーな肉。味付けは濃い目でガッツリ。パンチがあります。ご飯が止まりません。ご飯もいい炊き具合でおいしいなぁ。

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弁当ウエノの味を「濃すぎる」と感じる人もいるでしょう。けど、弁当ウエノは濃いことを自覚しています。あえて濃くしています。それによって敬遠されることがあったとしても構わないとすら思っています。その証拠に……

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からあげ弁当の説明には「濃口のタレの味が自慢の名物です」、ぶた生姜焼き弁当には「濃厚です」。

あえてこんな説明を添えているのは、長い経験の中で、味が薄いだの濃いだの何だのと、それはそれはいろいろ言われてきたからでしょう。そして、どの文句を捨て、どの意見を拾うべきか、どうすれば多くの人に受け入れてもらえるかをずっと考えてきた。結果、たどりついたのがパンチのある濃いめの味だったわけです。

私もそれが正解だと思います。

薄味だと文句は少なくなるかもしれませんが、客は来なくなります。というのも、薄味は「まずい」と思われる恐れがあるからです。そして一回こっきりで見放されます。

一方、濃い味は単に「濃い」としか思われません。薄味に比べると「まずい」とは思われづらい。むしろ昨今はとかく濃いめの味付けが好まれる傾向にあります。そして、濃い味の方が記憶に残りリピートされやすい。外食は「薄」より「濃」に振った方が無難なのです。

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プロがそうしているには理由がある――そう慮らせる味わい、お人柄でした。どちらかというと薄味が好みですが、私は弁当ウエノの味・思想を断然支持します。

だいたいねぇ、伊勢丹ですよ? そりゃもうシビアな世界。そこでやって来た方ですよ? ちゃんと考えられてるんですよ。すごいんですよ。ええw

おいしくて安くてボリューミー。とてもいいお弁当・唐揚げでした。駅からは遠いですが、246、三宿通り、下馬通り、環七に囲まれた地域にお住まいであれば、比較的すぐに行けるはずです。一度、試してみてはいかがでしょうか。

買うだけじゃなくて、店主といろいろ話すと楽しいですよw お邪魔にならない程度にね。あと、たぶん電話を一本入れてから行くといいかもしれません。ご飯が切れてるかもしれないので。