大岡山駅から徒歩10分。洗足駅から徒歩12分。都立大学駅から徒歩16分。西小山駅から徒歩20分。環七・南交差点のすぐ近く、ガソリンスタンド・出光の隣にボア・ラクテ パン工房というパン屋さんがあります。
もともとは西小山駅前にありました。2021年11月10日、再開発に伴う建物の取り壊しにより一度閉店。同地に移転してきました(具体的な移転時期は不明)。ここにはHIMMEL(ヒンメル)の工房があったので、同じパン屋としては移転しやすかったのかもしれません。
なお、西小山駅前のCraft Village NISHIKOYAMAには工房から運んできたパンを販売しているベーカリーカフェ ボアラクテがあります(2020年11月6日オープン)。
※2023年12月24日、駅前のこの店舗は閉店しました。
何はともあれ、googleマップを眺めていて、たまたま移転していたことを発見し、ボア・ラクテ パン工房へ行ってみました。私のサンドウィッチ/バインミー作りにはボア・ラクテが必要不可欠なのです。
コンクリート打ちっぱなしの店舗は工房と一体化。街場のパン屋が一気にオシャレになっていました。
移転前に比べてパンの種類は減りましたが、同店名物だったパニーニや塩バターパン、クリームチーズカレーパンなどは健在。
私が行きだした数年前に比べると少し高くなっていますが、小麦価格が高騰しているので当然のことでしょう。それに高くなったとはいえ、他店に比べるとまだまだ安い。
ジャーマンポテトドッグ(230円だったかな?)といつものフィセル(120円)。
フィセルでエゾシカ肉のサンドウィッチ。やっぱこのフィセルがいいんだよねぇ。惣菜パンを作るのにちょうどいい。
初めて買ったジャーマンポテトドッグもめっちゃうまい。
以下は移転前に書いたものです。ご参考までに。
ボア・ラクテの西小山時代
まだ食べたことのないパン屋でパンを買ってみよう。というわけで、学芸大学駅周辺はすべて行っていますから、駅から徐々に徐々に離れてあっちへ行ってこっちへ行って。お目当てのパンが見つからず、結局、辿りついたのは西小山。
西小山駅前にあるパン屋、ボア・ラクテ(Voie Lactée)。voieはフランス語で道・線路。lactéeはミルク(の/のような)。voie lactéeを英語にするとmilky way、つまり天の川。
惣菜系のパンが中心。いろいろあります。お客さんも結構いまして、私がその時見た限りではパニーニが人気のよう。
ただ、レジ横が街場のパン屋としては異彩を放っています。バゲット、パリジャン、フィセル。これはすごい。本格的なパン屋ならいざ知らず、街場のパン屋でここまで分けているのは珍しい。
しかも、見た目、形状、クープはまさしく"パン・トラディショネル"としてのバゲット、パリジャン、フィセルと言って間違いではないものに仕上がっています。
目当てだったパンにちょうどなフィセル、これまた異彩を放つゴツゴツしたクリームチーズカレー、クロワッサンをトレイに乗せてレジへ。
「このカレーパン変わってますね」
「作ってみたら好評で、それ以来、続けて作ってます」
「こちらはどれくらいになるんですか?」
「30年以上になります。もともとはリトルマーメイドだったんですが、独立して、この一店舗だけでやってます」
いつ頃、リトルマーメイドから変わったんだろう。界隈に住んでる人なら知ってるかな。
帰ってリトルマーメイドの商品群を調べてみると、ボア・ラクテにも似たようなパンがありました。経営的には独立していますが、商品の製造(原材料の仕入れ含む)においては、もしかたら何かしらのつながりがあるのかも? いや、わかりませんが、そういうパターンは決して珍しいものではないので。平和通り商店街のHOROKUDO(宝録堂)もそんな感じだし。最近、このあたりのことがとても興味深い。
さて。
こちらがクリームチーズカレーパン。
中にはみっちりとカレーが詰まっていて、白いクリームチーズも見えます。表面はサクッ。中は濃厚なカレーとクリームチーズのほのかなサワーな酸味。ガッツリ。
油感が強いのですが、中のカレーが濃厚なので、一緒に食べると油っこさが緩和されます。ガッツリなパンとしてのバランスがいい。とてもおいしいです。
こちらがクロワッサン。この日は超暑かったんですね。そしたら、クロワッサンの表面がビニール袋に少しくっついていました。これはきっと糖分だ。食べてみても、甘みが強い。そしてバターも強い。大げさに言えばお菓子のようなクロワッサン。
「バターすごっ」
「この甘さは小麦、バターだけじゃないよなぁ。砂糖ぽくね?」
「そうね。いい意味でジャンク」
「まあ、街場のパン屋だからなぁ。逆に西小山の駅前に本格的なパン屋があっても、おばあちゃんたち買ってくれんだろう(笑) その街に合ったパンなんだよ、これは。きっと」
と言いつつ。
フィセルの紙袋を開けてみました。ブワッと香ばしい香りが漏れ広がります。
「これ、香りかいでみな?」
「おお。香ばしいね」
「見た目も"フィセル"って感じでしょ?」
「うん」
「バゲット、パリジャン、フィセルと並んでたんだぜ」
「で、そのカレーパンとクロワッサンでしょ? いろいろあるね(笑)」
「な(笑) まあ、夜食ってみよう」
夜、このフィセルをどうしたかと言いますと。
最近、大好きなバインミーの自作。左がボア・ラクテのフィセル、右はJEAN FRANCOIS(ジャン・フランソワ)のバゲット。JFはたまたま連れが買って来ていて。どちらのパンも軽くトーストしました。
今回はレバーパテはなし。ヌクマム代わりのナンプラーと砂糖で豚コマを炒めたもの、ニンジンと大根のベトナム風なます、スライスオニオン、パクチーが具で、最後にレモンをひと絞り。
あああ。うますぎる。うますぎるよ。うますぎて、二人でフィセルとバゲット全部食っちまった。
フィセル自体は皮はパリッ、中はふっくら。うん、おいしい。
そりゃね、パンだけを比べたら、フィセルとバゲットの違いはあれど、当然、ジャン・フランソワの圧勝です。そりゃそうだ。相手はMOF(フランス最優秀料理人賞)を受賞してるシェフ(ジャン・フランソワ・ルメルシエ/Jean françois Lemercier)がプロデュースする店。超絶うまい。
だけど。
こうしてバインミーにしたら、私はボア・ラクテのフィセルで作ったバインミーを選びます。皮がバリッバリのガチのバゲットをバインミーにしている時点で間違ってはいるのですが、街場のパン屋との対戦です。いいハンデ。もろもろを加味して、バインミーにするなら、サンドウィッチ的にしても食べやすいボア・ラクテのフィセルの勝ち。身がふっくらあるから、何かを挟むと具とのバランスもよくなるね。
世界的に有名なシェフの渋谷・表参道・銀座の超人気店に、西小山の街場のパン屋が勝った! めちゃくちゃなマッチメイクなんだけどw
惣菜系はどれもボリューミーでリーズナブル。かと思うと、ちょっと本格的っぽいハード系もある。3種しか食べなかったけど、リトルマーメイドの経験なのかサポートなのか、安定感がある。"昔ながら"とはまた違う、チェーンとも違う、ちょっと進化した使い勝手のいい、今どきの街場のパン屋さん。そんな感じ。
ここでは紹介できなかった、おいしそうなパンがいっぱいありました。近所でまだ行ったことがないという方はぜひ一度。こういうパン屋が家の近くにあるってのはいいですよねぇ。
追記。別日に買ったフィセルでバインミーを作り、スタンドバインミー主催のバインミーレシピコンテストに応募したところ、優勝できました。ボア・ラクテありがとう!
その後もたびたびボア・ラクテのフィセルでバインミーもどきサンドイッチを作ってます。
SHOP DATA
- ボア・ラクテ パン工房(Voie Lactée)
- 東京都目黒区南3-12-20 デュークス大岡山1F
- 03-6421-2188
- ベーカリーカフェ ボア・ラクテ
東京都目黒区原町1-8-12 Craft Village NISHIKOYAMA
03-3711-1610
余談。
JEAN FRANCOIS(ジャン・フランソワ)を運営しているのは(株)グルメブランズカンパニー。鳥良、磯丸水産、海南鶏飯食堂、つけめんTETSUなども同グループです(create restaurants holdings)。
で、JFの運営会社グルメブランズカンパニーはもうひとつ人気・有名パン屋を運営しています。
東五反田のBread&Coffee IKEDAYAMA(イケダヤマ)。今回、JFについて調べている際に「ああ、そうだったのか」と。
好みの問題ではありますが、IKEDAYAMAのバゲットはまあ、そこまでおいしいとは思いませんでした。間違いなく、断然、JFのほうがおいしかったです。
機会がありましたら、JEAN FRANCOIS(ジャン・フランソワ)もぜひ。