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焼鳥屋・はなほ(三軒茶屋)はススキのごとし~普通であることの大切さと難しさ

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※2018年5月6日追記:時期は不明ですが閉店していました。追記執筆時は洋服屋になっています。追記以上

世田谷区野沢の居酒屋・ねぎ坊主のお母さんから、息子さんが三軒茶屋で焼鳥屋をやっていると聞き、これも何かの縁とばかりに行ってみました。

関連記事:龍雲寺の居酒屋「ねぎ坊主」へ三度目の一見としてうかがいました

二股に分かれている三軒茶屋栄通り商店街。東側の筋のスーパー・foodium(フーディアム) 三軒茶屋店のはす向かいにある焼鳥屋・はなほが今回の目的地です。

こじんまりとしていますが、とても綺麗な店内。カウンター向うには焼き台があります。ウチワで煽っていますから炭火です。いそいそと焼鳥を焼いているのが大将。うん、ねぎ坊主のお母さんによく似てるw

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店内には私を含め客3人。それにしてはすごい量の焼鳥です。

「すみません、お土産用の焼鳥50本焼かなきゃいけなくて。少々お待ち下さい」

こんな小さな個人店でどんな注文の仕方だよ(^^; ただ、一見としてはいいインターバル。いろいろ観察しましょう。

最初に来たお客さんが帰り際に「そういえば、昼、お母さんにあったよ」と大将に言いました。これでほぼ100%確定ですね。「ねぎ坊主」の息子さんで間違いない。メニューをよく見ると、こちらにも「ざんぎ」があるしw

他のお客さんはアルバイトの若い男の子に「ネギシ君、緑茶割り」と注文しました。ほぉ。ネギシだから「ねぎ坊主」。そして、この男の子はおそらく大将の息子さん。つまり、「ねぎ坊主」のお母さんのお孫さんってことかな。

お土産用の焼鳥を焼きあげ、ようやくこちらの焼鳥がやってきました。ねぎ間、せせり、つくね、レバー。

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落ちついたので、お客さん、大将、息子さんがあれこれと話しだしました。ところがです。ここで不思議なことが起こりました。息子さん(と思しき男の子)が大将を「ネギシさん」と呼ぶのです。おやぁ?

仕事場だから父親ではなくネギシさん。ということ? だとしても、話している感じも親子っぽくない。先輩、後輩の会話です。もしこれが本当の親子だとしたら、この関係性はとても面白いですね。そして、いい関係だとも思います。いろいろな想像が膨らみニヤけてしまいそう。

※あくまでも私の想像です。間違っていたらすみませんw

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確かにこだわりのある焼鳥なのでしょう。けど、ごくごく普通の焼鳥です。メニューも焼鳥屋にありがちな普通のメニュー。なんの変哲もない焼鳥屋さんです。だけど、だからこそいい。そして、普通であることはとても難しいことでもあります。

地元に密着した、地元の人に愛される、普段使いできる居酒屋。こういう居酒屋に特別なことは求められません。いえ、特別であることはむしろ居心地を悪くさせます。なぜなら、地域密着型の居酒屋は日常の延長線上にあるからです。日常ですから、特別であってはいけないのです。

生活の一部にしてもらえるような店は、一朝一夕にできるものではありません。何年も、何十年も続けてこそ、「我が家」と感じてもらえます。ここはなほの並びにある伊勢元がまさにそう。なんてことはない普通の居酒屋ですが、何十年とお客さんの日常を見守って来ました。すごいことです。

関連記事:ある晩に居酒屋「伊勢元」(三軒茶屋)で供された”肴”の話~コの字カウンターと一見の流儀

「はなほ」は花穂(かすい)のことでしょうかね。お母さんの店はねぎ坊主ですし。花穂とは「穂のような形で咲く花のこと。ススキ、エノコログサ、ケイトウなどがこれにあたる。(中略)花がすべて主軸に沿って並んだ状態になったものをこのように呼ぶ。」だそうです(wikipediaより)。

ススキの花穂のごとく、大将の人柄に惚れた人たちが集う「はなほ」。道端のなんてことのないススキが、いつまでもずっと咲き続けることを祈りつつ、店をあとにしました。

SHOP DATA

  • はなほ
  • 東京都世田谷区三軒茶屋1-35-27 1F
  • 03-3410-6222
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