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酉の市/とりのいち(武蔵小山)は怪しさ漂う焼き鳥屋。けど、おいしい料理、素敵なスタッフ、楽しい雰囲気は飲んべぇの心を鷲づかみにします。

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武蔵小山駅から徒歩5分。パルム商店街のMARUSEI(丸清)のある角を左折すると……。

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私が武蔵小山で一番気になっていた店。いつか来てみたいとずっと思っていた店。焼き鳥屋・酉の市(とりのいち)。おそらく2014年ごろにオープンしました。

※2020年1月16日追記:おそらく2019年の年末あたりに"閉店"しました。2020年3月ごろにオーナーさんみずからが同店名で新たに立ち飲み形式の焼き鳥屋を始めるそうです。店名は同じでも店はまったく違ってくるので、とりあえずこの酉の市は"閉店"として、新しい酉の市がオープンしましたら、別途、記事を新たにアップします。追記以上

学芸大学にはいい意味でのまがまがしさがありません。怪しさ、おどろおどろしさとでも言いましょうか。そういうのが大好きな人間としては、そこに物足りなさを感じなくはないのですが、こればかりは致し方のないことでして、そういうものを欲する際は隣の武蔵小山・西小山に向かうことしばしば。

まだ昼過ぎ。この時間にやっている飲み屋は学芸大学にはない。けど、ちょいと一杯ひっかけたい。せっかくだし今日は少しばかり冒険してみるか。どこが……そうだ、酉の市に行ってみよう。というわけで、武蔵小山まで足を延ばしてみたという次第。

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酉の市は昼の12時にオープンします。私が訪れたのは14時半くらいですが、すでに先輩方がいい調子で飲んでいました。学芸大学にはこういうお店がないんだよねぇ。

店員は威勢のよさそうなマスターと女性スタッフが二人。店頭のテラス席には女性スタッフたちの友達と思しき女性が数人陣取っていて、異国語が飛び交っているのですが、「フィリピーナ」という単語が聞き取れました。おそらくはみなさんフィリピン出身の方でしょう。

なお、スタッフがこの3人だけなのか、誰が店主なのかはよくわかりませんw

不案内な街で一見で店に入り、どう展開していくのかまったく読めないというこの状況に気分も高揚します。

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焼き鳥がメインであとはつまみ。激安とは言えませんが、安いです。とりあえず焼き鳥数種とレモンサワーをお願いしました。

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一杯目はレモンサワー。なんともシンプル。さっぱり。このノベルティグラスは初めて見たかも。

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お通しのマカロニサラダ。

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レバーはごま油がかけられ、ゴマが振られています。そしてニンニクも。手をかけてるなぁ。しっとりと焼き上げられた鳥レバーはなかなかおいしいです。

ちなみに、鶏肉を切り分け串に刺しているのを見ました。できあいじゃありません。

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ネギ間は最下部に鳥もも肉の切れ端を刺しています。一番下のネギを固定するためかな。何気に細かいところまで気を遣ってます。残しておいたごま油、ニンニクをつけて味変させたり。プリッとしていてこちらもおいしいです。

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「わっ」

「これ、おいしいですよ」

でっぷりとしたボリューミーなつくね。玉ねぎのみじん切りが混ぜ込まれています。とても柔らかく、しっとりジューシー。甘味もあります。確かにめっちゃおいしい。まさかここまでのレベルとは。

「本当においしいですね」

「ありがとうございますw 初めてですよね」

「はい」

「このあたりにお住まいですか?」

「学芸大学の方です」

「じゃあ近いですね」

「そうですね」

何がすごいって、この女性スタッフたち。日本語がうまいのですが、そのうまさが半端じゃない。日本語が流ちょうというだけではありません。単語のチョイスだったり、会話の返し方もまるで日本人。丁寧語も完璧。すごいなぁ。

それにしても店内が面白すぎる。情報量が多すぎ。

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キープボトルの多さが店の人気を物語っています。マスターの着ているTシャツの文字がとてもいい。画像の右上に見切れているのは「酉の市」というシールの貼られた熊手でした。

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ここまで多くの調味料類をテーブルに据えるのが面白い。ごま油まであるや。醤油もこれを置くというのがw

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こういう店にWi-Fiがあるというのも面白い。ボトルを他の客に無理に飲ませるなという注意書きも面白い。いろいろとこちらの想像力をかき立てますw

そして三線。ドリンクメニューには泡盛もあるし、島の塩辛というメニューもあるし、沖縄の方なのかな? マスターは出てしまったので、女性スタッフに聞いてみました。

「マスターは沖縄出身なんですか?」

「いえ、常連さんで沖縄出身の方がいらっしゃったんです。もうお亡くなりになったんですが」

帰って調べてみました。写真の方は後冨底一良(あとふそこかずよし)さん。2014年に64歳という若さでお亡くなりになりました。現在は奥様が跡を継いで後冨底三線教室(桐ヶ谷斎場近く)を主宰なさっているそう。

なお、先の島の塩辛ですが、これが沖縄のものかどうかは不明です(八丈島かも?という情報もあり)。

隣の先輩方の話も面白いなぁ。最年長の先輩は70代?

「26号のパチンコ屋もなくなって、このあたりは変わったねぇ」

確か、26号線という名前のパチンコ屋なんだよねw 界隈の飲食店でよく耳にします。らーめん亭26でも出たな。

「随分と若い人が増えたよなぁ」

ま、まあ、そうなのかもしれませんが、学芸大学住人からすると、いやいや小山の先輩方の元気さたるやw

「昔はスマートボールによく行ってさぁ」

武蔵小山にスマートボール場があったということは何度も話に聞いて知っています。どこだったかなぁ。いずれにせよ、そこに行っていたという方は初めて見ました。

グループで話が盛り上がっていたので、割っては入りませんでした。本当はいろいろ昔のことをお聞きしたかったw 特に映画館のこと。

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ここで終えることもできたのですが、雰囲気が楽し過ぎて、もう一品、気になった特製チャーシューを注文しました。

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その前に生ジンジャーサワー。何の気なしにグラスに口をつけ驚きました。ショウガのみじん切りだったのです。うそでしょう。そこまでする? 普通はすりおろすのに。

もしかしたら業務用のショウガのみじん切りがあるのかもしれない。だとしても、みじん切りを使うということ自体がすごい。

少し甘めで、ショウガがピリッ。ショウガのシャクッという食感もいい。これはいいぞ。

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チャーシューはスライスした後に焼き台で炙っていました。タレではなくネギマヨ。さらに玉ねぎを敷いています。食べてこれまたびっくり。チャーシューの塩がバッチリ決まってる。単に塩が振られているというわけじゃない。きっと塩漬けにしてるはず。

手がかかってんなぁ。ジューシーで甘くて香ばしくて、めっちゃうまい。超うまい。

「これもおいしいですねぇ」

「自慢の一品ですw」

本当にこれは自慢していい。ここまで手をかけるこだわりがお見事。素晴らしい。だって、玉ねぎがなくたって、ニンニクがなくたって、すりおろしショウガだったとしても、ぜんぜんいいじゃないですか。

なのに、手間やコストがかかるにもかかわらず、酉の市はあえてそうしている。マスターと話をしたかったな。この妙なこだわりはどこから来ているんだろう。てか、マスターはどこ行った?w

会計は2360円。

「またぜひいらして下さい」

「ええ、もちろん。ごちそうさまでした。おいしかったです」

「ありがとうございます」

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大鳥神社(目黒)の酉の市の様子

毎年11月に全国で行われる酉の市では熊手が売られていて、飲食店が商売繁盛を祈願し買い求めることも多いです。

縁起物の代表である熊手は、鷲が獲物をわしづかみすることになぞらえ、その爪を模したともいわれ、福徳をかき集める、鷲づかむという意味が込められている。

出典/wikipedia:酉の市

なるほど確かに。酉の市の何気に手のかかった料理、優しい店員、楽しい雰囲気に、私の心は鷲づかみされました。

見た目は怪しいですが、飲んべぇを自認している方ならきっと楽しめるはずです。武蔵小山に住んでいる方はもちろん、学芸大学近くに住んでいて、たまに武蔵小山へ行くという方もぜひ一度。

おっとっと。この記事をアップしたのが11月5日。今週末の11月8日と20日は酉の市だ。

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