肝臓公司ロゴ

ととろう。(学芸大学)は500円の刺身盛り合わせがお得で、優しい味わいのおでんも絶品なレトロな居酒屋。なんだか妙にジワります。

totorouの画像

学芸大学駅から徒歩3分。西口を出て左、線路沿いを碑文谷公園・都立大学方面へ向かい、ローソン・スリーエフのある交差点を右折すると、すぐ右手の路地にととろう。という居酒屋があります。

2015年11月29日、カジュアルフレンチ・TOTOROT(トトロ)オープン(学芸大学)。2017年9月1日、姉妹店・ 魚魚郎 (ととろう)オープン(中目黒)。2018年3月20日、TOTOROT閉店。2018年4月1日、TOTOROTと同じ場所にととろう。がオープンという流れです。

※2020年5月1日追記:時期は不明ですが、閉店しました。追記以上

totorouの画像

入口が低くなってます。頭上にご注意を。

totorouの画像 totorouの画像

店内はカウンター席と座敷席。店外にも椅子(屋台席)。全体的にレトロな雰囲気です。BGMは90年代Jポップ。

totorouの画像 totorouの画像 totorouの画像 totorouの画像 totorouの画像

初回は簡単にメニューの説明があります。酎ハイはどれも炭酸がついてきて、中身がおかわりできるようになっていること、刺身盛り合わせ、おでんがお勧めということ、土鍋ご飯は時間がかかるということなど。

totorouの画像

お通しは酒盗、わかめの和えもの、塩辛(会計から逆算すると300円かな?)。このあと刺身も食べますし、一杯目は日本酒ですな。

totorouの画像 totorouの画像

澤屋まつもと 守破離(しゅはり) 五百万石(京都・松本酒造)。片口に注がれ、溢れた酒は滝のように猪口へと流れ落ちます。

大正10年(1921年)創業、岐阜県土岐市の窯元・カネコ小兵製陶所による美濃焼、シズル冷酒器セット 茄子紺ブルー。深い藍、機能美を備えた造形、遊び心。いい酒器だなぁ。完全に私の好み。

松本酒造が掲げるテーマ・守破離はこのような意味です。

守-SHU- is to preserve tradition
破-HA- is to come up with new ideas to break with tradition
離-RI- is to create new values as you treasure both 守-SHU- and 破-HA-

炭酸ガスが含まれていると説明がありましたが、それは感じませんでした。淡くて穏やか。ほのかな酸味でスッと切れる。いいね。

totorouのメイン画像

ととろう。名物、500円の刺身盛り合わせ。升に刺身が盛られ、ピラミッド状に積み上げられます。メニューに明記されている通り、一組につき一回限り注文可。

totorouの画像

こうしたデコレーションは私の趣味ではありませんが、楽しませようという心意気は素晴らしいですし、500円というのも嬉しい。そして何より、生の本マグロ、タコ、イワシ、どれもとてもおいしいです。

刺身を食べ、口内にまだ少し残っている内に酒をキュッ。はぁ。うまいなぁ。

totorouの画像

つまは全部まとめてこう。和風大根サラダにしてワシッと頂きます。

totorouの画像

二杯目は芋焼酎・明るい農村(霧島町蒸留所)。大好きな芋焼酎・もぐら(さつま無双)がちょうど切れてて残念。けど、明るい農村もおいしい。

totorouの画像 totorouの画像

続いてはおでん。

totorouの画像

大根、玉子、ちくわ、こんにゃく、ちくわぶ。大きな大根はしっかりと味がしみていて、箸でホロっと裂けます。

何がうまいのかさっぱりわからないちくわぶは連れの大好物。なんだろうね。なんで女性はちくわぶが好きなんだ?w

ダシはさっぱり穏やか。薄いわけではありませんが控えめな味つけ。わかりやすく、もう少し強めに味を出したくなるところですが、ここまで抑えるのは勇気がいりそう。そして、カラシではなくゆず胡椒を添えていて、これがこのダシにいい塩梅。上手だなぁ。

totorouの画像

焼きウニぎりはご飯自体にもウニが混ぜ込んであります。ウニ感が強くて贅沢な味わいです。

「最近で一番好きかも。ここ」

と連れ。

「ほー。なんで?」

「メニューいろいろあるし、おいしいし、お客さんうるさくないし、店員さんがあれこれ話しかけてこないから。あとスツールに横木があって足がかけられる。これ重要」

二人で行ってるからね。こっちの様子をうかがって、そうしてたんだと思うけど。まあ、連れそっちのけで店員とあれこれ話し過ぎるから、連れとしては店員がグイグイ来ない方がいいみたいw スツールに関してはいつも同じことを言ってます。145cmなので高いスツールは疲れるのだそう。

totorouの画像

ジリリリリ。目の前の黒電話が鳴りました。けど、その受話器を取らず、カウンター向こうに置かれた普通の電話を取りました。音だけ利用してるのか。

会計をお願いしました。すると。

「会計をお待ちの間、こちらをどうぞ。おでんのダシです」

totorouの画像

ネギとワカメが加わると、先ほどとはまた違った表情を見せるダシ。こういうサービスも素敵です。

totorouの画像

やり過ぎないレトロが醸し出す柔らかな空気感。穏やかで丁寧な料理。過剰に踏み込んでは来ない接客。すべてが落ち着いています。このこなれた感じ、そつのない感じ、余裕を感じさせると言うか……。たとえば学芸大学だとナルカミで似たような感覚を覚えました。もちろん、いい意味で言ってます。

totorouの画像

さて翌日。

前日のことを思い出しつつ、撮った写真を見ながら記事を書いていました。すると……。

いや、その場でもいい店だとは思いましたよ。けど、一日経って振り返ると、「ああ、いい店だったなぁ」という実感がジワジワ沸いてきました。

これまでの写真をいま一度すべて見返してみて下さい。全体的に地味といえば地味ですよね。けど、いや、だからこそ、トータルで見てみると、あの刺身盛り合わせの賑やかな見栄えがピリッときいてきます。私の趣味ではないけどw、キャッチーであることは確か。

あるいは美しくも楽しい酒器、優しいおでんを締めるゆず胡椒、身をかがめてくぐる扉、郷愁をそそる黒電話の呼び鈴。ピリッときいた仕掛けが何気に品よく控えめに配されていたことに気付かされます。そして、強烈な何かがあったわけじゃないのに、絶妙な"スパイス"があとを引かせ、「あ、また行きたいな」と思わせるのです。

なるほど。ととろう。はジワる店だw

一人呑みもできますし、デートにもいいでしょうし、団体でも利用しやすいと思います。ちょいと頭上に注意して、ととろう。の扉を開いてみて下さい。なんだか妙にジワりますよ。

SHOP DATA

学芸大学の全飲食店リストバナー