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MEGURO Maruei/丸栄ベーカリー(学芸大学)は地域に長年愛され続けている街場のパン屋さん。カレーパンとメンチカツサンドはボリューミーで懐かしい味わいでした。

【町場(まちば)】人家や商店などが多く、町になっているところ。市街地。「町場に出る」

goo辞書より

「ちょうば」と読むと違う意味になりまして、読み違いを避けるためか、辞書には載ってませんが「街場(まちば)」とも書かれます。

飲食店に関連してよく見かけるのは街場のそば屋、街場の中華料理屋といった言い方。カジュアルで気取らない、普段使いできる地域密着型の庶民的な店といったニュアンスです。学芸大学駅界隈で言うなら、東軒二葉が街場の中華屋、松月庵朝日屋が街場のそば屋。

逆に大鴻運天天酒楼は街場の中華屋って感じではありません。やっこを街場のそば屋とは呼ばないでしょう。このあたりは明確な定義があるわけではなく、感覚の話です。

「街場」という単語にネガティブなニュアンスは含まれていません。食べログで星4つの高級中華料理店のほうが優れていて、街場の中華屋のほうが劣っている、というわけじゃない。私の場合はむしろポジティブに使うことが多いです。だって東軒も二葉も素晴らしいじゃないですか。街場の中華サイコー。

というわけで、今回は"街場のパン屋"のご紹介です。

meguro-marueiの画像

学芸大学駅から徒歩12分。目黒通り沿い、東急バス目黒営業所の前にあるパン屋さん・MEGURO Maruei。

ネット上では「丸栄ベーカリー」と表記されていることが多いのですが、現在は丸栄ベーカリーと自称していないようです(法人名は丸栄製パン株式会社)。もしかしたら、以前は看板等に丸栄ベーカリーと書かれていたのかもしれません。また、丸栄ベーカリー 本店、丸栄ベーカリー 中央店などといった呼称も見かけます。後述しますが、ここから何店舗も暖簾分けしていき、同店名の店舗が各地にあった(ある)ので、わかりやすいよう消費者側が便宜的にそう呼び分けているのでしょう。

ある情報によると丸栄ベーカリーは10軒ほどあったそうですが、現在は方南町の丸栄ベーカリー(1973年創業)と清瀬の丸栄のパン(以前は丸栄ベーカリー)の3店舗だけです(おそらく)。各店の現在の関係性は不明です。

※追記:2017年5月31日に方南町の丸栄ベーカリーは閉店しました。追記以上

meguro-marueiの画像 meguro-marueiの画像

店内にはいろいろなパンがあります。おいしそうな惣菜系パンがずらり。時間帯によっては売り切れていたり、焼き上がっていなかったりといったこともあります。幾度か「ああ、カレーパンないのか」と断念したことも。

その日はカレーパンがありました。あともうひとつ。カツ、ハンバーグ、メンチカツ……。うーん、どれも魅力的。迷っていたら、奥から店主らしきお父さんが出てきました。

「このメンチカツとかって、ここで作ってらっしゃるんですか?」

「中は全部、ここで揚げてますよ」

「そうなんですか。すごい。おいしそうですね。こちらはどれくらいになるんですか?」

「50、60年くらいですかねぇ」

「へぇ、そんなにですか」

帰ってネットで調べてわかったことですが、1959年創業のようです(レシートにも書いてあった!)。

話をしていると、お客様がいらっしゃいました。そのお母さんは店に入るなり、タマゴサンドを迷わず3つ、一瞬考えたあと、サラダサンドを2つトレイに乗せました。きっと家族で食べるのでしょう。そしておそらくはずっと昔から。

まさに街場のパン屋さん。お母さんのチョイスの仕方は、この店がいかに長く地域に愛されてきたかを物語っているように思えました。

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さて、その日はとても暖かい日でした。せっかくだし外で食べてみましょうか。中央中通りを上って行った先の某所で食べることにしました。

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じゃーん。カレーパンとメンチカツサンド。わんぱくだろぉ?

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カレーパンを割ってみるとこう。衣はサクッとしつつ、生地はフワッ。生地には甘みがあります。カレー自体も甘め。ルーというよりも、ジャガイモがピューレ状になったような感じです。

ここまで甘いカレーパンは初めてです。けど、その甘さは決して嫌なものではなく、どことなく懐かしさを感じさせます。スパイシーでガッツリなカレーパンもおいしいけど、こういうのもなんだかいいな。

続いてメンチカツサンド。

meguro-marueiのメイン画像

見て。いい顔してんねぇ。

meguro-marueiの画像

中はこんな。メンチカツがみっちり。ボリュームがあります。パンは水分が少なめな感じでカフっとしてます。ソースをまとったキャベツとジューシーな肉には、しっとりしているよりもこういうパンのほうがいいのかもなぁ。

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別日。5本300円くらいのパンにマルニハムのソーセージを挟んでみました。しっとりふんわりでおいしい!

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バゲット。写真ではわかりづらいですが、超巨大です。長いし太い。本格派ブーランジェリーにあるようなバゲットではなく、日本式フランスパンです。

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食べてビックリ。そこらのフランスパンはカスカス、カサカサなことも多いのですが、MEGURO Marueiの"バゲット"は中身がしっとり・みっちり。甘みがあって、塩味がカウンターをあてていて、味わいもしっかり。正直、バゲットとは言いづらいパンですが、フランスパンとしては非常にレベルが高い。

さらに、このパンは日本の食卓によく馴染みます。今回はシチュー、ポテトサラダに合わせたのですが、この上なくよくマッチしました。私はこの界隈ではメゾンカイザー系のBread Plant OZ(ブレッドプラントオズ)のバゲットが群を抜いておいしいと思っているのですが、今後、夕飯に出てくるようなおかずに合わせるのなら、OZよりもMEGURO Marueiのこのバゲットを選ぶかもしれません。

さすが。日本の食事にはどんなパンが合うかを老舗はよくわかってらっしゃる。それに、近隣のおじいちゃん・おばあちゃんたちもよく来る店です。そんな店で本格的なバゲットを売っても、堅くて食べられません。ふわりとしたこういうフランスパンが正解なんです。

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毎年8月10日、11日はサマーセール

界隈で生まれ育った方であれば、一度は丸栄ベーカリーのパンを食べたことがあるかもしれません。けど、最近越して来たような方だと、まだ行ったことない、食べたことないという方もいらっしゃることでしょう。ぜひ一度、お住まいの地域がどんなパン屋を支持してきたか、そのパンがどんなものか、試してみてはいかがでしょうか。

年々減りゆく街場のパン屋。それが近所にまだ残っていてくれてるってのは、とっても貴重なことだと思うんですよねぇ。

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