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じゃじゃおいけん(三軒茶屋)のじゃじゃ麺は自分好みの味を探求する錬金術。麺と肉味噌をかき混ぜ、調味料を加え、卵を割り入れる一連の流れは、じゃじゃ麺に認めてもらうためのイニシエーションです

夜になっても収まり切らない二日酔いの体が濃厚な麺を欲します。そこで自転車を飛ばして中華そば ふくもりへ。けど……定休日。こうなりゃ意地です。じゃじゃおいけんまで行ってしまえ。

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三軒茶屋駅から徒歩5分強。国道246号線・世田谷警察署前交差点すぐそば、中里通り商店街沿いにあるじゃじゃ麺専門店・じゃじゃおいけん 三軒茶屋本店。隣が派手なCo.Coという飲み屋なので、世田谷観音通り(旧明薬通り)からでもわかりやすいと思います。

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2003年オープンですから、何気に長くやっています。けど、カウンターのみのサッパリとした店内はとてもキレイ。

じゃじゃ麺って食べたことあったかな。じゃじゃ麺に関して持ち合わせている知識は、中国伝来の盛岡名物で、麺と肉味噌っぽいものを混ぜる、というくらい。何を注文しようか……。

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「こちらからサイズだけお選び下さい」

あ、一種なのね。

「じゃあ大盛りで」

うっ。ついつい。大盛りはもうやめようと何度も決意しているのですが、口にクセがついてしまっています。もう言っちゃったんだから仕方ない。大盛り大盛り。

説明にある通り、麺を茹でるのにそこそこ時間がかかります。この間を利用して店内を観察。壁には有名人のサイン色紙がいっぱい貼られています。そしてこんな文言が。

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盛岡じゃじゃ麺の良さは、一回食べただけじゃ分からない。二回、三回と食べて、自分の味を作って自分の盛岡じゃじゃ麺を見つけてください。味は十人十色。

なるほど。それにしても、この字。麺のような字だw

おだやかそうな店主が大きな鉢を持ってきました。

「よくかきまぜてお召し上がりください。お好みでこちらの調味料もどうぞ」

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パッと見、ラーメンらしからぬ麺です。まあ、ラーメンではないのですが。どちらかというとうどんに近いのかな? よーくかき混ぜます。

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いっただっきまーす。

麺は柔らかいうどんのよう。コシはほとんどありません。あとでわかったことですが、じゃじゃ麺の麺にはかん水が入っていません。ですから、あえて言うなら、ラーメンよりもうどんなんですね。どちらかと言われれば。けど、うどんともなーんか違う。面白い。

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味はゴマのきいた肉味噌がコッテリ。コッテリではあるのですが、ショウガもきいているので、意外とズルルといけちゃいます。三口ほど食べてラー油を投入。その後、ニンニク、酢と順番に入れていき、味わいの変化を堪能します。

ラー油は辛くありません。ゴマ油の香りが強い。たぶん、ラー油・にんにくたっぷり、酢ちょびっと、というのが私には合ってそうかな。

あっという間に平らげてしまいました。で、説明によると卵を割ってスープを入れてもらうのね。チータンタンって言うんだ。

「卵を割ればいいんですか?」

「はい。割って溶いて下さい」

卵を割り入れ溶きます。

「お箸はそのままで器を下さい」

言われるがまま、器を渡します。

「肉味噌が沈んでいるので、よくかき混ぜて下さい。味が薄ければ、塩、コショウ、肉味噌、ラー油をお好みでどうぞ」

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ふむ。先に割っておいた卵がフワフワになってるや。見た目は卵スープだ。よく混ぜて、まずはそのまま。確かに薄めの味ですが、これだけでもぜんぜんおいしいです。けど、せっかくだし、肉味噌、ラー油を足そうか。おおう、優しい表情から一転、パンチのあるキリっとした顔つきに変わったぞ。よし、もう少しラー油をインするか。こうして徐々に自分好みの味付けに近づけていきます。

スープを飲み終え聞いてみました。

「チータンタンのチーって何ですか?」

「鶏と書いてチーです。タンは蛋白(たんぱく)の蛋とお湯の湯です」

ああ、担担じゃないのね。そして油淋鶏(ユーリンチー)のチーか。

「おいしかったです。ごちそうさまでした」

「ありがとうございます」

あれを混ぜ、これを混ぜ、徐々に味が変わっていき、本当に辿りつけるかはわからない、自分なりの究極のじゃじゃ麺を目指す。その行程はさながら錬金術。

そして、決して命令口調でも厳しい調子でもなく、淡々とじゃじゃ麺の完成へと導くように促す店主。私はというと、店主の言う通りにただただ、じゃじゃ麺を混ぜ、調味料を混ぜ、卵を割り、スープをかき混ぜる。まさにじゃじゃ麺のイニシエーション。

じゃじゃ麺とは秘儀を施す食と見つけたり。

ふぅ、お腹いっぱい。おいしかったし面白かったな。今度はもっともっとガッツリ辛くしてやろうw

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