「隣の魚屋さんの〆鯖がおいしいのよ」
「屋台屋さん」という居酒屋で、女将さんがよく出してくれるのが「魚政(うおまさ)」の〆鯖です。とてもおいしい〆鯖なので、いつか「魚政」で魚を買ってみようと思っていました。そして先日、「魚政」の前を通ると、大きなタラコがドーン。うまそっ。
学芸大学駅、駒沢大学駅から徒歩15分弱。環状七号線の野沢交差点に「魚政(うおまさ)」という鮮魚店があります。「サミット 野沢龍雲寺店」のある龍雲寺交差点よりひとつ南の交差点です。
「すみません、このタラコはいくらですか?」
お母さんは二房を皿に乗せて計量。壁に貼られている値段表のようなものを見やりました。
「950円です」
「じゃあお願いします」
「はーい」
すると、作業していた男性(後に息子さんと判明。詳細は記事末をご参照下さい)が顔をひょっこりお出しになりました。
「そのタラコ、"とらじょう"ってブランドなの。北海道の」
帰って調べてみたのですが、正確には虎杖(こじょう)。虎杖についてはまた後ほど。
「立派なタラコですねぇ」
「木箱に入ってる最高のタラコだよ」
お母さんが満面の笑みで続けます。
「この前ね、虎杖へ旅行に行ってきたの。ああ、こんなところなんだーって」
「へーそうなんですか。こちらはどれくらいになるんですか?」
「50年から」
この言い方は1950年という意味ではなく、50年以上という意味だと思われます。
「あそこに赤いビルあるでしょう。あのあたりは大きな畑だったのよ。当時はまだ環七なんてなくてね。ミゼットが走ると、両脇の草木がビューって揺れてたくらい」
「その頃はまだ野沢商店街ってあったんですよね」
「もうちょっとあっちね。道路が太くなって、なくなっちゃったの」
昔の話を聞くのは楽しいw
「タラコ、そのまま食べてね」
「ひとつはそのまま頂きますが、もうひとつは明太子にしてみようかと」
「そうですか(笑)」
「ありがとうございました。また寄らせて頂きます」
「ありがとうございましたー」
苫小牧と室蘭の中間あたりに位置する虎杖浜をGoogleストリートビューで見てみました。浜沿いにどこまでも続くまっすぐな道。海産物を扱う小さな工場や民家が並んでいます。地名通り、虎杖(いたどり)が生い茂っています。私はその光景に、お二人の姿を重ねます。
自分たちが扱う魚や海産物を見に、北海道へ。凍てつくような海風を受け、虎杖浜に並ぶ親子……。なんて感動的なシーンでしょう。
帰ってご飯を炊き、さっそく頂きます。
プリップリ、パッツンパッツン。こいつをご飯に乗せますと……。
うまいに決まってんじゃん。みっちり詰まったプチプチのタラコ。最高。
もうひと房は明太子にします。以下、簡単に手順を記しますが、市販のタラコを明太子にしようとしています。そして素人が適当にやっているだけです。生タラコから作る場合と違うと思いますので、ご了承を。
煮切って冷やした日本酒に粉末の唐辛子を大量に入れ混ぜる
↓
タラコとまぶし、ジップロックに入れて冷蔵庫に寝かせる
以上! もともとのタラコが相当うまい味付けなので、塩やダシを入れる必要なし。簡単!
3日、冷蔵庫に寝かせました。
周りの唐辛子を箸でそぎ落とし、薄くカット。ご飯が炊けていなかったので、豆腐に乗せてみました。
ジャーン。やば。
3日ではピリ辛。もっと長く漬ければ、もっと辛くなったと思います。市販タラコだから味が入りづらいんだろうな。でも、タラコ本来の味わいも残っていますし、これくらいで十分。カラスミとまでは言いませんが、水分が出ているので、少しねっとり。めちゃうま。そぎ落とした唐辛子もおいしいので、何かに利用しよう。
追記:明太子パスタにしました。控えめに言って、人生でもっともおいしい明太子パスタでした。
翌日はこんな感じ。白髪ネギと先の唐辛子をごま油で和え、豚丼にトッピング。最高! 追記以上。
老舗のご主人が目を利かせて仕入れる、とっておきの魚・海産物。機会がありましたら「魚政」をのぞいてみてください。とても素敵でチャーミングなお二人が、晩御飯にぴったりの逸品を勧めてくれますよ。
※正確には、たらこ(明太子)は2つで1組。2袋=1腹と数えます。
2016.08.04追記:ご夫婦と思っていたのですが、お父様はお亡くなりになり、息子さんが継がれているとの情報を頂きました。ありがとうございます。そして、勝手にご夫婦と紹介して失礼しましたm(_ _)m 謹んでお詫び申し上げ、記事も訂正致します。
SHOP DATA
- 魚政(うおまさ)
- 東京都目黒区東が丘1-1-20
- 03-3421-2819
- 公式