住所でいえば目黒区東が丘1丁目。呑川柿の木坂支流緑道(詳しくは後述)の一本裏手。区立東根小学校のすぐ近く。東京医療センターの裏手。成城石井 柿の木坂店からもすぐ。桃太郎寿司 駒沢店の向かいの路地(歩道橋の脇)を入ったところ。駒沢大学駅から徒歩10分強。学芸大学駅、都立大学駅からは徒歩20分強。
さあどうだ。頭の中の地図にその場所を指し示すことはできるかい? できませんよね。のちほど地図もつけておきます。まあ、だいたいそんなところです。学大住人視点で言えば、野沢3丁目や下馬6丁目の環七寄りにお住まいであれば、余裕で徒歩圏内。そんな場所にあるのが、今回ご紹介するひふみ亭です。
ひふみ亭は街場の中華屋さん。住宅街のど真ん中にポツンと佇んでいます。やってらっしゃるのは女性です。中華で女性というと、中国料理 美虎の五十嵐美幸さんを思い出しますが、いやぁ、ほんと雰囲気が似てます。肝っ玉母さんって感じ。ひふみ亭のママのほうが年は上ですが。
ママは親から店を継いで、現在は一人で店を切り盛りしています。親の代から数えると、創業から50年ほどだそうです(※テレビ番組「町中華で飲ろうぜ」で昭和41年創業と判明)。
店内はとてもきれいです。長いカウンターには10人ほどが座れるでしょうか。基本的には常連さんばかりです。厨房内も見える一番端の席につきました。私は半チャーハンラーメン、連れは五目そばを注文しました。
厨房の中央には巨大な鍋。スープかな?と思ったのですが、違いました。チャーシューです。大量のチャーシューが大鍋で煮込まれていました。そして、チャーシューを煮ている醤油ダレが醤油系スープのかえしになります。
その隣の中鍋はほんの少し白く濁ったスープ。おそらくは鶏ベースだと思われます。チャーシューダレのかえし、鶏スープ、ほんの少しドーピング。これで醤油ラーメンのスープは完成です。
五目そばのスープには干し貝柱のような魚介の風味もありました。これはなんだろうな。
麺は注文が入るとその都度、中華鍋でお湯をわかして茹でます(時間帯によっては大鍋でお湯を大量に沸かしていることもあるかもしれませんが)。中太と細麺の中間くらいの細さで、茹で時間は1~2分程度。
チャーハンも中華鍋で作るわけですが、最初に白いラードのようなものを鍋に入れました。チャーシューを作る際に出る脂を利用しているのかな? しっかりとご飯を鍋肌に焼きつけ、炒(チャー)します。
結局、何が言いたいかというと、とてもこだわっているということです。ちゃんと手を入れています。そうしてできあがったのがこちら。
「ああ、懐かしい味」「いわゆる街場の中華屋のラーメン」などと呟きそうになりますが、そんな甘っちょろいもんじゃありません。極上です。濃厚。深みがある。作っている工程をつぶさに見ましたから、よくわかります。これはえげつない。
チャーハンも同様です。やり過ぎない。かといってパンチがないわけじゃない。絶妙。
具だくさんの五目そばは、まるでチャンポンのよう。野菜の甘みがよく出ていますし、鶏と魚介の風味がよく出ています。これもうまい。
麺は細いというか、加水率が高めというか、もともとが柔らかめの麺だと思われます。ですから、「麺硬め」と注文した方がいいかもしれません。
あまりにもうまくて、数日後、また行っちゃいました。今度は私一人で。頼んだのはかたやきそば。
味のベースは先の五目そばと同じでしょう。濃厚なんですが、しょっぱくはない。うまみがたっぷり。あんは緩めの閉じ。そばはどうしているんだろう。これは既製品? 麺の形からすると揚げているようにも見えます。さすがに揚げはしないか。先日と同じ席に座ったのに、見逃した……orz 中太なのでパリッパリというわけではありません。パキッて感じ。やっぱうまいなぁ。
ビールを頼むと、つまみがついてきました。こちらは味濃いめ。酒によく合います。全体的に言えることですが、嫌になるほど、味付けのバランスがいい。そして料理が上手。
今度行った際は何を頼むか、もう決めています。中華料理屋であえてのカレーライスorかつ丼です。ここまでレベルの高い店が、いったいどんなカレーライス、かつ丼を作ってくれるのかを見てみたい。
二度目の訪問時、「この間、二人で来て頂いた方ですよね」と言われました。ちゃんと覚えててくれてます。そういうところもすごいですね。優しくて、いつも笑顔で、料理上手で、おいしくて。やばいじゃん。最高じゃん。
追記
別日に頼んだチャーハン大盛り。写真じゃわかりづらいですが、かなりの量です。二段で盛ってたw しっとりでやっぱうまい。チャーシューとハム、両方使ってるのもいい。
広東メン。かなりボリューミー。ほんのわずかにとじられた濃厚なスープがやばい。この味ちょー好き。めちゃうま。
SHOP DATA
- ひふみ亭
- 東京都目黒区東が丘1-16-19
- 03-3487-7466
- 公式
さて、呑川についてです。
呑川の本流は桜新町あたりが水源です。深沢、都立大学、緑が丘と流れ、ずっと南へ下り、蒲田、東京湾へと続きます。
呑川にはいくつもの支流があります。たとえば、呑川柿の木坂支流、呑川駒沢支流、九品仏川(自由が丘の緑道ですな)など。呑川は都立大学駅あたりで一本化します。そんな呑川と九品仏川は緑が丘で合流します。
緑が丘より北方面はだいたい暗渠化されていて、緑が丘より南、東京工業大学付近から南の呑川は開渠です。
この界隈は新しい家ばかりになってしまっているので、あまり面白くありませんが、古い家が残っている緑道(≒暗渠)は、昔の名残(川があった形跡)がいろいろ垣間見えて面白いんですよねぇ。