※2018年1月27日追記:2017年の秋頃、女将さんがお亡くなりになり、閉店していました。ご冥福をお祈り致します。追記以上
少し時間があったので、あえて武蔵小山で降り、歩いて学芸大学方面へ戻ることにしました。いつものようにバス通りを歩いていたんじゃ面白くない。裏道を通ろう。というわけでプラプラしていたら、住宅街のど真ん中に焼き鳥屋らしきものを発見。
写真は出る時に撮ったもの。行った時は17時少し前だったので、まだまだ明るかったです。お店の扉は全開でしたが、暖簾も提灯も出てないし、やっているのかどうか……。
「すみません、何時からですか?」
「何時って……。どうする?」
とお父さん。
「もういいんじゃない? 入ってもらったら」
とお母さん。
「では、お邪魔しま~す」
カウンターに座ろうとしました。すると、
「そこだと相撲が見づらいでしょ。こっちのテーブルに座りなさい」
テーブルに座りビールを注文しました。
ひゃっほー。これよこれ。瓶ビールはこうでなくちゃ。これで飲むのが正解。最初の一杯はお母さんが注いでくれました。
学芸大学と武蔵小山のちょうど中間あたり、林試の森公園近くの清水稲荷通り商店街にあるやきとり 鳥勝(とりかつ)。焼き鳥屋ではなく焼きとん屋でした。なぜゆえ"鳥"なのに豚? という話は後ほど。
大相撲中継が始まりました。お父さんもお母さんも詳しいし、熱がこもってますw
「白鵬なさけないねぇ」
「このアナウンサー大きいですね。同じくらいの背丈ですよ」
「嘉風が小さいのよ」
「にしても、それなりに背はありますよねぇ」
「そういえば、ウチのお客さんで184cmある女性がいるわよ」
「えええ。それはすごい。バレーやってたとか?」
「実業団にいたって言ってたかしら。ママさんバレーやってて、終わった後、ここに寄ってくれるの」
「そんな高い人がチームにいたら、めっちゃ強そうですねw」
相撲を見ながら、シロ、レバー、カシラを注文。冷凍保存してある串をレンジで解凍して焼いていました。
甘くてしょっぱいタレ。解凍ですから、肉は硬くなっています。お世辞にもおいしいとは言えませんが、カシラはそれなり。いいんです。おいしいとかおいしくないとか、そういう次元のお店じゃないんだから。
相撲中継のあとはNHKニュースで盛り上がります。
「ほんと大変ねぇ」
「あそこまで水きてたんだって!」
「この辺は大丈夫でした?」
「この辺は大丈夫。大鳥神社のあたりが谷になってるから、あの辺りは大変そうよね」
「東京は洪水ないけど、地震がねぇ」
「この前、すごかったですね」
「ビックリして飛び起きちゃったわよ」
なるべく邪魔しちゃいけないと、簡単そうなメニューをお願いしました。
「おでんってタネはなんですか?」
「一袋ずつになってるのだから、入ってるものは決まってるよ。玉子と大根と……」
ははは。正直w
「なるほどー。じゃあ、モロキュウお願いします」
でてきたのがこちら。
立派なキュウリ。よく冷えてて、シャクっとしてておいしい。
壁には小さな提灯がたくさんぶらさがっています。お土産でよく売ってるヤツです。
「これってお土産の提灯ですよね。こんないろいろ行かれてるんですか?」
「お客さんが持ってくるのよ」
「こんなに行ってたら店潰れちゃうよ。もう潰れそうだけど(笑)」
「壁一面びっしりあったんだけど、半分くらいはもう落ちちゃって」
「蜘蛛の巣張ったりするし、もう断ってるんだけどね」
「こちらは何年くらいになるんですか?」
「31年、か」
「お兄さん生まれてないんじゃない?」
「いえいえw もう42ですよ」
「あらぁ。そうなの。若く見えるわねぇ」
「ああ、お兄さん、この前の道よく通る?」
「いえ、初めてです。初めて通って、たまたまこちらを見かけたんでうかがったんですが」
「そうなの? お兄さんによく似た人、この前をよく通るからさ」
「そうなんですか。でも、僕じゃないですねw」
いろいろ話せて楽しかったー。
お父さん、お母さん、ありがとうございました。やきとりもキュウリもよかったです。そして、僕は聞き逃しませんでした。お父さん、焼酎を注ごうとしているお母さんにこうささやきましたよね。
「ちょっと多めに」
その優しさ、忘れません。
最後に"焼き鳥"と豚の話。
焼き鳥屋と称して、焼きとん(豚)を出すお店がたくさんあります。"鳥"なのになぜ豚? これに関する確かな文献、資料は見当たりません。起源はよくわかりませんが、串に刺して焼くというスタイルが同じため、豚でも"焼き鳥"と呼うようになった、という感じだと思います。
ひとつ面白いのが恵比寿の「やきとり たつや」。黒ホッピー発祥の店として有名な老舗「たつや」のメニューにはこんなことが書かれています。
やきとり…とりとは「肚裏」とかき、「はらのうち」つまりは内臓をあらわしています。
"焼き肚裏"がいつの間にか"焼き鳥(やきとり)"になった。とも考えられるのですが、まあ、これは「たつや」による後付けでしょうw
SHOP DATA
- 鳥勝(とりかつ)
- 東京都目黒区目黒本町1-11-6
- 03-3710-1913
- 公式