見つけづらいけどわかりやすい場所にある酒場くにかげ
学芸大学駅から徒歩1分。東口商店街のちよだ鮨を曲がった先に酒場くにかげというお店があります。2021年7月21日にオープンしました。
※2023年6月30日に閉店
運営は株式会社国影(代表:坪川克彦さん)。三軒茶屋の三角地帯の和食屋・KUNIKAGE(2012年創業)の2号店です。
フラッと歩いているだけでは見つけづらいですが、狙って行くのならわかりやすい場所だと思います。商店街を一本曲がるだけですから。けど、「地図を見てもどこかわからないから駅から一緒に連れてって」と同伴者が言っていたので、一応、写真を載せておきますと……。
ちよだ鮨がありますよね。
その角を曲がった先、左手のビルに看板が光ってます。あそこが酒場くにかげです。
酒場くにかげはビルの2階。
カウンター16席、テーブル12席(4名×3卓)。このテーブル席の団体さんは誕生日会をしてらっしゃいました。
お酒が進む塩梅の料理
酒の肴によさそうな料理がずらり。鯛出汁おでんがウリだそう。
「はまぐり汁そばだって」
「へー、いいね。〆に頼もうか」
「もうちょっとちゃんとした作りのメニューにすればいいのに」
「そう? これ見やすいじゃん。ブックって見づらいからなぁ」
かしこまった店じゃない、カジュアルな店だという店側の意識が表れたメニューだと私は感じます。
まずはビールで乾杯。はぁ。大きなビールグラスだったか。残念。ビールは圧倒的に瓶ビール派。瓶ビールなら断然コップ派。メーカーのノベルティだったらなおよし。
お通し。正確な料理名は失念。豆腐がクリーム状になっていて、甘辛く炊かれたアサリがトッピングされています。まったり濃厚。
夏は岩牡蠣(宮城)。大きくて、ほどよく弾力があってうまみが強い。
刺身おまかせ3点盛りは〆鯖、水タコ、真鯛の昆布締め。全体的にねっとり。私の好きな魚介ベスト3は鯖、タコ、ウニなのですが、今回に限っては真鯛の昆布締めが一番よかったです。
海老の雲丹クリーム湯葉包み揚げ。これまた濃厚でガッツリなクリーム。できたてグラタン並みに熱いのですが、それもまたよし。
鯛出汁おでんはおまかせ5種盛り合わせだけなのかな? 大根、玉子、とうもろこし、焼き豆腐、車麸。
ダシも塩味もしっかりしていてパンチがあります。それだけなら「濃いめのツユでお酒に合うねー」というだけなのですが、面白いのがトウモロコシです。焼かれたトウモロコシが入っているので、ダシにもトウモロコシの甘みとロースト香が移っています。
2杯目のレモンサワーは撮り忘れ。こちらは3杯目の自家製パイナップルサワー。
「お酒にパイナップルを漬けていて、その漬けたパイナップルと凍らせたパイナップルを使ってます。漬けたパイナップルはお酒を吸ってるので、それだけを食べると結構酔いますw」(スタッフさん)
2番目に好きなフルーツがパイナップル。甘いお酒も好き。つまり何が言いたいかというと、これ大好き。
鱧(はも)とヤングコーンの天麩羅。フワフワな鱧とシャクっとしたヤングコーンに食感のギャップがあっていい組み合わせ。サクサクな衣もいい。
自家製いくら醤油もダシがききつつ、塩味もしっかり。本来は日本酒に合わせるべきなんでしょうけど、このあともあるので日本酒は控えておきました。おいしそうな日本酒がいろいろあるので、日本酒好きにはいいだろうなぁ。
自家製牛肉100%粗挽きメンチカツ。別にぜんぜんいいのですが、牛肉100%自家製粗挽きメンチカツでしょうなぁ。一瞬、自家製牛肉と読めてしまうので。それはそれで引っ掛かりができて面白いですけどねw
ところで、メンチカツには2パターンあります。
学芸大学であれば栄屋精肉店のメンチカツがそうなのですが、お肉屋さんや惣菜屋のメンチカツはひき肉をあまり捏ねません。だからホロリと柔らかい。業務用の冷凍メンチカツもだいたいそう。
一方、洋食屋で出てくるメンチカツはしっかり捏ねていることが多いです。ハンバーグをフライにした感じ。
酒場くにかげのメンチカツは後者。むっちむちでみっちり。肉々しくて食べ応えがあります。下味は薄めなのですが、牛肉と玉ねぎの甘みがしっかりあります。
「ねぇ、オレもう無理よ」
「わたしももうお腹いっぱい」
はまぐり汁そばは断念、残念。
不思議とお腹いっぱいになるので満足度が高い
会計は二人で1万1000円でした。
ひとつ不思議なことがあります。画面を上にスクロールして、もう一度、頼んだ料理をズラーっと眺めてみてください。そこまで多くはないですよね。
確かに揚げ物が多かった。歳を取り、以前に比べると食が細くなったというのも事実です。にしても、これでお腹がはちきれそうになるというのが……。
つまり、パッと見以上に量的な満足度が得られる、というのが酒場くにかげなのかもしれません。
お店の雰囲気から、さっぱり上品な和食系居酒屋かと思っていたのですが、少々違っていました。料理はどれもパンチがあって、お酒が進む塩梅です。
鳩乃湯や大衆酒場レインカラー、呑家(旧アオギリ)は若い人で賑わっていて、ちょっと行きづらい。ゆっくり静かにお酒を飲みたい。あまりかしこまらずに――そんな風に思っている方にとっては、気軽に日本酒をチビリとやりつつ肴をつまめるいいお店じゃないでしょうか。
最後に蛇足。
時折、スタッフさんたちが声をかけてくれました。とてもいい対応ではあったのですが、少々話に乗りづらいとも感じた、ということは正直に書いておきましょう。
というのも、厨房やカウンター内が客席フロアより30cmほど高い。ですから、スタッフさんと話すたびに顔を大きく上げ下げしなくてはいけなくて落ち着きません。
また、目の前にある立ち上がりが高くて圧迫感があり、少し窮屈にも感じさせます(参考図)。
とはいえ、もう変えようがありませんし、こんな風に感じるのは私だけかもしれないので、「こうすべし」とか「これはいけない」とかと言うつもりはありません。私なんかとは比べものにならないくらい飲食のことをわかってる方が店をデザインしてるんだから、こうしているのには何か意味があるのかもしれませんしね。
一応、私はそう感じたというご報告だけ。
参考/みんなの飲食店開業:カウンター席の造りが、売上や満足度に影響するのはなぜ?
※3や7に該当
SHOP DATA
- 酒場くにかげ
- 東京都目黒区鷹番2-19-22 g fiesta V 2F
- 03-5734-1088
- 公式