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Comme'N TOKYO/コム・ン(九品仏)の世界一になったシェフが手掛けるパンは王道のおいしさ。

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東急大井町線・九品仏駅から徒歩30秒。九品山 唯在念佛院 淨眞寺(浄真寺)の参道入口対面にComme'N TOKYO(コム・ン)というベーカリーがあります。2020年8月19日にオープンしました。

オーナーシェフ・大澤秀一さんは高校を卒業して、奈良県のパン屋に就職。20歳で父親が営む高崎市吉井町のベーカリー・パリジャンに移り、パン作りの経験を積みます。そして25歳の時、前橋市の農産物直売所に誘われてパン屋を開業。ところが1年も経たずして直売所が撤退したことにより閉店します。

その後、著書『パンの教科書』を読んで憧れていたÇa marche(サマーシュ)のシェフ・西川功晃氏に師事。もう一度、パン作りを基礎から学んで、2年後に退職。2015年、フランスで開催されたパンの国際大会、第5回モンディアル・デュ・パンの応援ツアーに参加し、「自分も挑戦したい!」と思うようになりました。

2017年(?)、群馬県高崎市でプレハブ小屋を借りて、ベーカリー・Comme'N(コム・ン)を開業してパン作りの研鑽を積みます。

2019年、第7回モンディアル・デュ・パンで総合優勝(6部門中3部門でも優勝)。これは日本人初のこと。世界一のパン職人になった大澤秀一さんは2020年8月、九品仏へ店舗を移転させました。

commeはフランス語で「~のような」。英語で言うところのlike。Nは師匠・西川功晃氏の名前の頭文字だそう。西川氏のようなパンを作りたい、西川氏のようにパンと向き合っていきたい、店名にはそんな意味が込められていると思われます。

さて、先に書いておきましょうか。たかが知れてる拙いパン経験ですが、Comme'N TOKYO(コム・ン)は私が今年に出会ったベーカリーで断トツNo.1です。

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平日であっても店頭に列ができていることがほとんど。10分、15分くらいは待つことを覚悟しておきましょう。

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店外の行列と店内の列はひと続きになっています。店内に入ったら一人ずつパンを選んでいき、選んだものはスタッフがトレイに取ってくれて、トレイはそのままレジに回ります。トレイを持って会計待ちということがないので楽チン。

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パンを焼くスペースとサンドウィッチなどを調理するスペースが分かれています。スタッフの多さが印象的。

数十種のパンが並ぶComme'N TOKYO(コム・ン) commenの画像 commenのメイン画像

ハード系、惣菜パン、菓子パン、サンドウィッチなどがいっぱいあって目移りするのですが、一人ずつ選ぶので、あまり長く悩み過ぎては後ろの人をイライラさせかねません。定番としてどんな物があるかあらかじめ調べておいて、いくつかは買う物を決めておき、あとはその場で見て決める、というのがいいかもですね。

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というわけで、バゲット、バゲット・ア・ラ・マン、オリーブとチーズ、くるみ、クロワッサンA.O.P.を買ってきました。

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クロワッサンA.O.P.(300円)。外はパリッと香ばしく、中はふんわり風味豊か。変な甘さはありません。オーソドックスなおいしさです。

A.O.P.はアー・オー・ペーと読みます。Appéllation d'Origine Protégéeの略。原産地保護呼称。詳細はウィキペディアでどうぞ。

参考/wikipedia:保護原産地呼称

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オリーブとチーズ(300円)。生地は少しモッチリ。しっかりとしたオリーブの風味、絶妙な塩味。うますぎる……。

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バゲット(280円)。ひと口で声が漏れました。

「これだよこれ!」

カリッとしたクラスト。ほんの少しモッチリと感じさせますが、決してモチモチはしていない、いい意味で水分量が控えめなクラム。パン・トラディショネルと呼ぶにふさわしい王道のバゲットです。

もちろん、多少は日本人の口に合わせてるかもしれません。けど、過剰に日本ナイズされてないのがいい。私はこういうバゲットが好き。

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バゲット・ア・ラ・マン(350円)は手ごねバゲット。スタンダードなバゲットよりもクラストは柔らかめ、クラムはふんわり。こちらもしっとりはしていますが、モチモチはしていません。

バゲット・ア・ラ・マンのほうが食べやすいと感じる人が多いかも? いずれにせよ、こちらも激うま。

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くるみ(380円)はボソッとした素朴な食感で(変な意味ではなく)、奥深さを感じさせる味わいです。

Comme'N TOKYO(コム・ン)のバゲット

それぞれをそのまま食べた後は自家製レバーペーストと一緒に。もちろんよく合います。

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翌日はカレーと一緒に。濃い味のソースにつけても、パンは負けません。力強い。

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別日に購入したGバゲット。Gはお店の創業地・群馬のG。群馬の小麦や玄米を使ったバゲットだそう。

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香ばしくてバリっとしたクラスト。モチっとした優しいクラム。風味も穏やかで繊細なバゲットでした。

はぅ。どれもうまいなぁ……。

無理してオリジナリティを出そうとしていません。奇をてらわない。オーセンティックです。でも、それができるというのがすごい。確かな技術がなければ、そして自信がなければ、王道を行けません。

これこそが私が好きなパン。私が求めていたパン。こういうパンに出会いたかった。

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私が住んでいるエリアではBread Plant OZ(ブレッドプラントオズ)が群を抜いています。ひとつだけレベルが違う(シニフィアン シニフィエは横に置いといて)。けど、もし近くにComme'N TOKYO(コム・ン)があったら……想像したくないw どちらが、という優劣は言いたくないですが、間違いなく悩みます。私がこよなく愛するBread Plant OZをもってしてもそう言わしめる、それくらいやばいです。

自転車なら学芸大学駅から20分ほど。渋谷とほぼ同距離です。目黒通りの自由が丘三丁目交差点を左折すればいいだけ。坂がちょっと大変ですが、道順はとてもわかりやすい。

王道の本格的なパン、Comme'N TOKYO(コム・ン)。ぜひぜひ一度。

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ついでに浄真寺にでも寄ってみて下さい。気持ちいいですよw