武蔵小山駅から徒歩10分弱、西小山駅から10分強。学芸大学駅からだと20分ほど。平和通り商店街にある二葉フードセンター。鮮魚店、鶏肉専門精肉店、惣菜店、八百屋などが入っている昭和によくあった"マーケット"です。こんな施設はもうほとんど見かけませんから、二葉フードセンターは天然記念物的存在。
今回は天丼を作ろうと思って、ここへやって来ました。いや、何を作るにせよ、3日に1回は来てるのですがw
※2021年9月30日に閉店しました
八百屋の二葉屋でナス、れんこん、ししとうを買い、続いて鮮魚須永へ。鮮魚須永はプロ御用達の鮮魚店です。ここで魚介を仕入れている飲食店が学芸大学にもたくさんあります。
「はい、まいどっ」
と、お母さん。客だけではなく、店前を通る人みんなにお母さんはこう声をかけます。これがかわいくて。
鮮魚は量が多めの分、安いといった印象。鮮魚のほか、お刺身や乾物もあります。
鮮魚須永にあったエビは赤エビ(※後述)でした。6尾で600円。
今まさに鯛を三枚におろそうとしているお父さんに声をかけます。
「赤エビって天ぷらにできますよね?」
「ああ、天ぷらにしてもうまいよ」
表のお姐さんに「これ、一皿お願いします」。
「ありがとうございました」
その日は35度を超える酷暑日でした。真夏の買い物には必ず保冷剤3つを持っていきます。保冷バッグに保冷剤と赤エビ。これで大丈夫。46号/都道420号を北上し、学芸大学方面へと戻ります。
立派な赤エビだ。
殻を外し、背ワタを取り、しっぽを切ってきれいにして、腹に包丁。おいしい天ぷらになりそうだ。私がうまく揚げられればw
赤エビ、なす、しいたけ、ししとう、れんこん、ゴーヤの天丼。ひどい仕上がり。やっぱ天ぷらは難しい。けど、赤エビは大きくてプリップリ。甘くておいしいや。
天ぷらをすると卵、水、小麦粉で作った衣(液)が余ります。捨てるのはもったいないから……あ、そうだ。お好み焼きにしよう。
まずは取っておいた赤エビの頭・殻でスープ。濃厚! 6尾分の殻に対して水500mlくらいだったかな。煮立ててアクを取り、ガシガシ砕くようにしてうまみを出していきます。ミキサーにかけて濾してもいいかもしれませんね。
エビスープを使ってリゾット風。エビの風味が爆発。
赤エビを余すことなく最大限に活かします。
そして、天ぷら液と天かすでお好み焼き。これは赤エビと直接的には関係ないかw でもまあ、どれもこれもうまかった~。
魚介類の年間消費量はずっと減り続けていて、ピーク時の2001年と比べると2018年は約6割くらいになっています。2010年頃には肉類の消費量が魚介類の消費量を上回りました。
参考/水産庁:令和元年度 水産白書 第4章 我が国の水産物の需給・消費をめぐる動き (2)水産物消費の状況
鮮魚店の数は1994年には約2万5000軒だったのが、2014年時点で約7500軒。
参考/水産庁:平成29年度 水産白書 第4節 我が国の水産物の需給・消費をめぐる動き (2)水産物消費の状況
八百屋で野菜を買う。魚屋で魚を買う。当たり前のこと、日常的なことと思うかもしれませんが、上のデータはこういうことが特別なことになってきているという現状を物語っています。魚屋で魚を買うことは言わば特別な"日常"なのです。3日に1回は二葉フードセンターに行く僕ですら、やっぱりスーパーで買うことのほうが多いですし。
さらに、この特別な"日常"はそう遠くない将来に失われてしまう"日常"でもあります。
魚屋って楽しいですよ。
「はい、まいどっ」
このひと言を聞きに行くだけでも結構です。鮮魚須永の前を一度通ってみてくださいな。特別な"日常"が失われる前に。
SHOP DATA
- 鮮魚須永
- 東京都目黒区目黒本町5-32-13 二葉フードセンター内
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- 公式
アカエビ/赤エビとは~アルゼンチンアカエビ
アカエビとは狭義には十脚目クルマエビ科に分類されるエビの一種で、西日本から東南アジアまでの温暖な内湾に生息しています。
ただ、これ以外でも赤い色のエビをアカエビと呼ぶことがあります(広義)。その代表例が今回買った赤エビです。スーパーでよく見かける赤エビも同様なのですが、これは正確にはアルゼンチンアカエビです。
アルゼンチンアカエビはアルゼンチン近海で獲れるエビなんですが、漁獲後、船上でマイナス20度以下に急速冷凍して輸送するために鮮度がよく、刺身用としても使われます。お手頃な寿司屋の大きくて安い生のエビはアルゼンチンアカエビであることが多いようです。