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にんじん亭(西小山)があまりにも優しくて~大きくておいしい料理とご主人の人柄で、お腹も胸もいっぱいになりました

あまりこういうことは書かない方がいいのかもしれませんが、優しさに涙が出そうになるのです。

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西小山駅から徒歩4分。ロータリーにある銀やの筋を真っ直ぐ行ってもいいですし、江戸見坂通りを真っ直ぐ行っても着きます。居酒屋・にんじん亭。ずっと気になっていたし、チラホラと噂を耳にしていたので行ってみました。

開店は19時。5分前に店の前に来てみると、看板に明かりがついていて、暖簾も出ていました。店に入ると、朗らかな表情の店主が出迎えてくれます。L字のカウンターには、すでに常連さんが3人。一番奥の席に促され、レモンサワーを注文しました。

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常連さんの内の一人がライターを大量に持って来ていました。私も3個頂きましたw

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ある常連さんの目の前には大きな焼酎の甕(グレープフルーツのすぐ奥の茶色い甕)。蛇口がカウンターに向かって出ていて、自分でついでらっしゃいます。甕を動かすことは容易ではないので、ボトルどころか席もキープ状態です。いいなぁ。贅沢。こういう常連になってみたいし、こういう常連がいるということは、それだけいい店という証拠。席の背後にはキープボトルがズラリと並んでいました。

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お通しのきぬかつぎとしらすおろし。ほっくりとして甘みのある里芋。そのままでも十分おいしい。

19時を回った頃に女性がやって来ました。ご主人の奥さんかと思ったのですが、そうではありませんでした。その話はまた追って。

「すみません、焼き鳥お願いします。ねぎまとレバーとつくねを」

「つくねは終わっちゃったんですよ。日曜日に仕込んで、月曜日には全部。大きいので、とりあえず2本でいいですか?」

「はい、お願いします」

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出てきたレバーとねぎまは、ご主人がおっしゃる通り、本当に大きいです。写真ではわかりづらいかもしれませんが、通常の店の2倍、いや3倍はあろうかという大きさです。大きいだけじゃありません。もちろんおいしい。ミディアムレアのレバーはプリプリ。タレの塩梅もいい。モモ肉はジューシーで食べごたえバツグン。塩加減もちょうど。うまいなぁ。

メニューが豊富です。目移りしてなかなか決められません。そうめんとひやむぎが両方あるというのが面白い。

続いて頼んだのはニン玉チーズ。ニンニク玉子、ニンニクチーズというメニューもあるので、おのずとニン玉チーズの意味もわかりました。

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が、こうして出てくるのは想定外。小さな丸い鉄板にニンニクが敷かれ、その上に半熟の目玉焼き、これらをチーズが全面的に覆っています。ハフハフ言いながら食べます。これがうまいのなんの。

ここで常連さんの内の一人が餃子を注文しました。すると、ご主人が私にこうおっしゃいます。

「餃子どうですか?」

一気に焼いちゃった方が楽だし、餃子が名物なのかもな。

「ぜひ」

「何個食べますか?」

先ほど、一人前が5個とおっしゃってました。

「じゃあ5個で」

注文が入ってから、タネを皮で包みます。

「味がついているので、そのままでも食べられますよ」

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こちらもかなり大ぶりです。見た目もきれい。何もつけずにそのまま食べます。ジューシーでアツアツで、味付けもいい。最高。5個すべて、何もつけずに一気に平らげました。

「お腹の具合はどうですか?」

「大満足です。どれも大きいですね(笑)」

「混みだすと、何本も注文を受けられないので、一本ずつを大きくしているんです(笑) 餃子のタネには、ずっと注ぎ足して来ている焼き鳥のタレと味噌を入れてます。今日は暇ですが、日曜日は昼の1時からやってて、奥の小上がりもいっぱいになるんですよ。あと、お勘定はキャッシュオン。値段も50円安かったり」

「そうなんですか。じゃあ、今度、日曜日も来てみます。ところで、なんで"にんじん亭"なんですか?」

「よくわからないんですが……。妻が、13年前に亡くなったんですが、もともと絵の先生をしてまして、絵の題材にしていたんですかね。にんじんが好きだったのかな?」

と、ここでご主人が横の女性に目をやります。女性は物憂げに「そうですねぇ」。

「あ、ご夫婦ではないんですね」

「ええ。妻の友人で。ああ、そうそう。杉山亭ってご存知ですか? すぐそこの洋食屋さんなんですが、そこのご主人と仲がよくて、20年前、店を出す時に、にんじん亭のロゴというか文字を書いてもらったんです。だから杉山亭とウチは看板の文字が同じなんですよ(笑)」

「へー。そうなんですか。今度、杉山亭ものぞいてみます」

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確かに同じ筆跡

ご主人は確か59歳くらい。13年前ということは46歳か。仮に奥さまが同い年くらいだったとしたら、随分と若くしてお亡くなりになっているんですね。

いま隣にいる綺麗な女性とにんじん亭のご夫婦は3人でゴルフをするような仲でした。奥さまが亡くなり、奥さまの友人だった女性が店を手伝うようになります。残されたお二人の気持ちを慮ると、なんとも切なくて。

とても優しいご主人です。一見の私に対しても、常連さんに対しても、友人の女性に対しても。ご主人が優しくあればあるほど、お亡くなりになった奥さまの存在が際立ってきます。この優しさのうしろには、底知れぬ悲しみがあったと思うと、喉の奥がクッと熱くなるのです。

「ごちそうさまでした」とご主人と女性に挨拶して、「お先に失礼します」と常連さんに会釈して店を出ました。

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人は悲しみが 多いほど
人には優しく 出来るのだから

その日はとても風の強い日でした。振り返ると、にんじんの暖簾がはためいていました。「また来てね」と奥さんがおっしゃってるのかな。日曜日にも行ってみなきゃ。

勝手に感傷的になってますが、お店自体はとても賑やかで明るく、楽しくておいしいお店です。ここは自信を持っておすすめできますw 近くにお寄りの際はぜひ一度。

余談。

西小山へ行くと、最近は必ず寄るようになってしまった居酒屋・やるびー。その日も二軒目で一杯だけのつもりが、また長居。マスターに伝えます。

「今日はにんじん亭に行って来たんです」

「ああ、そう。あそこはいいよねぇ」

「おいしいですね」

「あそこのマスター、うちにも来てくれるのよ」

「そうなんですか」

「居酒屋の他に、友達何人かとメガネを作ってるんだって」

「え? なぜメガネ? で、友達とって……そういう風に作るもんなんですか?w」

「わたしもよくわかんないんだけどぉ」

今度行った時に聞いてみるか。

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サービスで出してくれた巨大なブリの握り。巨大なブリの刺身を強引に寿司にしちゃってます。うめぇ。つーか、今日は巨大デーだなw

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