※2017年1月28日追記:中央百貨店の取り壊し(→建て直し)により、2016年冬に閉店しました。マスターはまた近くでやると言ってました。とりあえず一度、お疲れさまでした。
※2020年12月19日追記:2020年、やるびーのマスターは亡くなったそうです。ご冥福を。追記以上
亮「西小山の商店街に、変なスーパーみたいなのあるじゃないですか」
私「ん? スーパー?」
亮「精肉店とか花屋があって、その奥行くと魚屋があったりする。市場みたいな」
私「ああ。はいはい。あるねぇ」
亮「そこに一軒、赤提灯の居酒屋っぽい店があって、めっちゃ気になってるんですよ」
私「え? 居酒屋? あったっけ?」
亮「それがあるんですよ!」
ほんまかいな。そんなのあるわけ……
ほんまやw
西小山駅のロータリーから北へ伸びる西小山商店街(にこま通り)。その中ほどにあるのが「中央百貨店」。昭和27年にできた"百貨店"で、現在は「秀花園」(花・園芸品)、「肉の新井屋」(精肉・お惣菜)、「農家の直売所 ココカラ/cococolor」(青果)、「魚富」(鮮魚)、そして居酒屋「やるびー」が入っています。
亮君に教えてもらった居酒屋「やるびー」。突撃してきました。あまりにも楽しくて5時間も! いやぁ強烈でしたw
「すみませーん」
中をのぞいても誰もいません。すると、お花屋さんのお母さんが声をかけてくれました。
「あら、いない?」
「ええ。こちらは何時からです?」
「もう開いてるはずなんだけど……あ、いたいた。お兄さん、お客さん」
ははは。先の写真に写っている赤いポロシャツの方がマスターでした。
「もうやってます?」
「はい。まだ何も仕込んでないけど(笑)」
「いえいえ、お構いなく。お邪魔しまーす」
4人掛けテーブル2つ、2人掛けテーブル1つの小さなお店です。
「昨日、遅くまで飲んで、お兄ちゃんがベロンベロン。もう本当は来てなきゃいけないのに、まだ来ない。店に携帯忘れてるから、連絡も取れなくて。絶対寝てるな」
お兄ちゃんというのは、この店の従業員。マスターはまあよくしゃべるしゃべるw 弾丸トークです。お通しのウィンナー(ケチャップ味)をつまみ、ウーロンハイを飲みながら聞いた話をまとめてみます。
マスターは60代。学生時代、歌手をやっていて、同時に池袋でとんかつ屋も経営していました。歌手としては鳴かず飛ばずでしたが、飲食店を次々とオープンさせていきました。赤坂、歌舞伎町、伊勢佐木町、目黒……。
一番儲かったのは赤坂のクラブ。当時、数十円だったコーラを女の子に飲ませたら3000円。そんな時代。目黒ではスナックをやっていて、その時の従業員が先の遅刻者です。
ここ「やるびー」は5年ほど前にオープン。「フィンランドにヤルビーという湖があって」と言ってましたが、帰って調べたところ、正確にはフィンランド語で"湖"が「järvi(ヤルヴィ)」。
「以前やってた店の1階がサウナだったの。サウナと言えばフィンランドでしょ。だから」
ん? ちょっとよくわかりませんw けどまあいいや、そういうこと。ここは最初は立ち食いうどん店でした。ところが、雇っていたおばちゃんがぜんぜん働いてくれなくて、結局、居酒屋にして自身も立つようになったのだとか。
「はぁ。おばちゃんは昼過ぎになるとパチンコに行っちゃうの。ぜんぜん働いてくれないんだから。人に任せるのって、ほんと難しい。だから、こんな歳になって自分でやるはめに。居酒屋なんてやってことないから、勝手がわからないでしょ。ぜんぜん儲かんない。従業員雇ってるから、二人が食べて行くのでせいいっぱい。もう、あの子何やってんのかね。早く来てもらわないと困るんだけど」
なんとか話の間隙を突き、注文をします。
「白モツ塩煮込みってできます?」
「できますよ。うちのは牛モツ。おいしいよ」
「じゃ、お願いします」
ハチノスと白モツと、コンニャク、大根、ニンジン。ダシとモツのうまみが溶け込んだスープ。超うまい。まじうまい。
「めっちゃうまいです」
「でしょ」
お。お兄ちゃんがやってきました。お兄ちゃんと言っても、私より4歳ほど年下ですが。
「あんた何やってたの!」
「ベロンベロンでさ」
「知ってるって!」
「携帯ないから連絡できなくて」
「ほんとどうしようもないね!」
口調は激しいですが、激怒というわけではなさそうです。いつもこんな調子でやり合っているのでしょう。ほほえましい。ていうか、60代のマスターと30代後半の従業員・タケちゃん。なんだか不思議な関係ですw
「あれ?」
と、私の顔を見たタケちゃん。
「ああ、違いますよね。いや、○○さんに似てるなぁって」
「確かに。似てるかも。けど、こんな細くないよ。ヒゲももっとあって」
「ははは。よく言われるんですよ。どこかで見たことあるとか、誰それに似てるとか。ありがちな顔なんですw」
いや、ほんとにw
マスターやタケちゃんと話していたら、ポツリポツリとお客さんがやってきます。まずはおとなし目の男性。次にキレイなお姉さん。その次は上品なかわいいお姉さん。賑やかになってきました。特に女性陣が面白すぎ。キレイなお姉さんは70代って言ってたかな。いや、ぜんぜんそうは見えない。息子さんは私より年上で、お孫さんが21歳って……。すごいな。
「はい、これ」
マスターがお姉さんにつまみを出します。
「なにこれ? 残り物?」
「ちーがーうー。余り物!」
終始この調子。お姉さんはマスターがスナックをやっていた頃からのお客さん。お姉さんも若い頃に飲み屋をやっていたそう。そんな二人が話すもんだから、完全にノリがスナック。いや、なんならゲイバーに近いノリw
「あれ?」
と、改めて私の顔を見たお姉さんが声を漏らします。またかw
「○○さん……じゃないわよね」
「ええ、違いますw 似てるみたいですね」
「○○さんはもっと太ってるでしょ。ヒゲももっとこう……」
デジャブw
ワイワイやってたら、タケちゃんがシークワーサー割りを持って来てくれました。
「あちらからです」
「え、ほんとですか? すみません。頂きます」
お姉さんからごちそうになりました。そのお姉さんはこんなことを。
「唐揚げ食べたいな。一本」
そうしたら、向こうのかわいい上品なお姉さんも。
「私も一本食べたいな」
「あ、じゃあ、僕が普通に注文しますよ。で、みんなでわけましょうよ」
「いやいや、いいのよ」
「いえいえ、マスター、唐揚げお願いします」
「ウチの唐揚げおいしいよ。秘伝のレシピ。揚げるのはタケちゃんだけど」
揚げ物はタケちゃんのほうがうまいそうです。できあがった手羽先の唐揚げがこちら。
なんちゅう量だw 一人じゃ食えなかったな。ちょうどよかった。キレイお姉さんとかわいいお姉さんに一本ずつ差し上げて、食べました。
まっじでうまい。ほんとうまい。このタレ、なんかの味に似てるんだよなぁ。変なたとえですが、ラーメンのような味。意味わかんないですよねw 気になる方は食べてみて下さい。ほんとおいしいです。
「昨日はよく来てくれるお客さんがやってる焼肉屋に行ったの。5杯くらいしか飲んでないのに4000円だよ」
「いや、2、3品つまんでたじゃん」
「絶対、あっちの客の分、こっちについてたよ」
このやり取りはもう二度目w 私もお姉さん方もマスターもタケちゃんも、どんどん飲みます。
「これ、どうぞ」
つまみをいろいろごちそうになりました。
青唐辛子の味噌炒め。激辛。けど激うま。
ふきのとうもしっかり味がしみて最高。
正直、こういう店ですから、味には期待していませんでした。けど、どれもこれもまあうまい。いや、ビックリ。
もう一人、とても50歳とは見えないお姉さんもやってきて、いろいろ話していたら、5時間経っていました。いい感じで酔ってきました。
「すみません、お勘定を」
「はい、2500円」
3000円を渡しました。
「お釣り結構なので、その分、お姉さんに一杯」
「そこから取るかどうかわかったもんじゃないわよw」
「余計なこと言わないのー」
「ちゃんと確認して下さいねw ごちそうさまでした~」
「また寄ってね」
中央百貨店のシャッターは閉まっているので、百貨店の側面にある扉から出ました。実はこちらがメインの入り口なんだとか。
本当はもう一軒、行きたい店があったのですが、その日はもう帰ることにしました。だってもう、お腹いっぱい。気分の、ね。これ以上は無理ですわ。しんどい。楽しすぎて疲れました。
トイレは共同です。精肉店や鮮魚店がありますから、虫が飛んでくることだってある。マスターは強烈です。気分屋です。
でも。
「やるびー」最高。いやあ楽しかったなぁ。
追記:その後、何度も行ってます。「やるびー」第一発見者wの亮君も連れて行きました。記念にマスターとパシャ。
おや? メガネを取ったマスターを初めて見たけど、何気に男前だし、日本人離れした顔つき。
「1/4アメリカなの」
へぇ! ついでに若い頃の写真も見せてもらいました。
すげw 超イケメンwww
この日はおいしい刺身を食べて、青唐辛子の味噌炒めを大量に頂いて帰りました。初めて行った日にいらっしゃったお姉さんもいたし、他の常連さんもいい人たちだったし。楽しかった!
「やるびーまじいいっすね。最高。今後、絶対行っちゃうな。何度も」
と、亮君。だよねーw
SHOP DATA
- やるびー
- 東京都目黒区原町1-5-7 中央百貨店内
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- 公式