シチリアの人気ワイン醸造家が作る自然派パスタ
OCCHIPINTI SPAGHETTI DI TUMMINIA/オッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニア。
OCCHIPINTI/オッキピンティはアリアンナ・オッキピンティさんのフードプロジェクト・ブランド。オッキピンティさんは世界から注目されているイタリア シチリア州のワイン生産者・ワイナリーオーナーです。農園も運営していて、ワイン、パスタ、オリーブオイル、ジュース、ジャムなども作っています。
TUMMINIA/トゥミニアは小麦の品種名。粒が硬い硬質小麦です。ギリシャ時代から品種改良されずに生産されてきた小麦の原種で、古代小麦とも言われています。
除草剤散布などの処理なし、肥料なし、灌漑なし。完全にナチュラルな小麦で作られたスパゲティ、それがオッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアです。
ある晩、あるお店で、私のブログをよく読んで下さっているという方と隣になりました。その時たまたま、このオッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアをお持ちで、「私は食べたことがあるので、ぜひもらってください」と。
日本ではなかなか入手できない貴重なパスタ。ありがたく頂戴しました。
オッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアでいろいろなパスタを作ってみた
パッと見はそばのよう。茶色味がかっています。パスタの表面には小さな筋が入っていてザラリとした手触り。匂いをかぐと、小麦の柔らかな甘い香り。このあたりはそうめんにも通じるものがあります。
パスタそのものの味を堪能すべく、最初は超シンプルなパスタにしてみました。
材料はペコリーノ・ロマーノと胡椒だけ。オリーブオイルも塩も使いません(お湯には塩を少々)。
少な目のお湯を沸騰させ、塩を入れ、パスタを茹でます。お湯を少な目にする理由は、あとで茹で汁を飲むためです。そう、オッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアは茹で汁もおいしいんです。
パスタを茹でている間に、ペコリーノ・ロマーノと胡椒をボールに用意。
茹で汁を少し加えてペコリーノ・ロマーノを溶かしソースを作ります。ソースは火にかけません。
10分茹でたパスタをソースと和えます。
完成。ローマの名物料理、カチョエペペ。カチョはチーズ、ペペはコショウの意。狙い通り、パスタ自体の味がしっかりとわかりました。
スーパーで売られている普通のパスタ(以下、普通のパスタ)とはまったく違います。ツルっとしていません。食感はボソッ、ムチッ。風味は穏やか。あえて似ているものを挙げるとするなら、食感は十割りそば。風味はそうめん。とにかく素朴な味わいです。
次にセロリのペスト(日本で言うところのジェノベーゼ)で和えました。
なるほど、わかりました。
オッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアはこの上なく優しい風味なので、シンプルでさっぱりなソースでは物足りない。もっとパンチがほしくなります。
というわけで、カルボナーラに。
いいですねぇ。濃厚なソースとクセのないパスタが合わさると、ちょうどいい塩梅。トロリとしたソースはモソッとしたパスタによく絡みます。
そして最後はサバのトマトソースパスタ。
おお、これよこれ。うまっ。オッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアは肉や魚、トマトやクリームに合わせるのがいいですね。
茹で汁をスープに
オッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアを頂く際、「パスタの茹で汁もおいしいので、ぜひ飲んでみてください」
と言われていました。というわけで。
まずはそのまま。
見た目はそば湯っぽいですが、味はまったく違います。あえてたとえるなら、おもゆ(重湯)。トロリと濃度があって、風味は穏やかですが、滋味深い。ただ、そのままだと素っ気なくもあります。
塩、胡椒、バジルを加え、ローストした椎茸をトッピング。これで奥行きが出ました。
ミキサーにかけたニンジンペースト、生クリーム、コンソメ少々でニンジンスープに。これくらいパンチがあったほうが飲みやすいかもしれません。こりゃうまいな。
オッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアの声
もちろんオッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアはおいしかったです。ただ、とびっきりおいしいパスタかと言われれば、正直、答えに窮します。けど、イタリアはもちろん全世界でオッキピンティのワインやパスタは支持されています。つまり、おいしいという以上の何かがあるということでしょう。その「何か」とは……。
このパスタを頂いた時のこと。パスタをくれた女性はこんなことを言っていました。
「これを見ていたらパスタの声がしたんです。『ひろぽんさんにもらってほしい』って。今だけじゃない。料理をしていても声が聞こえてくるんです。『こうやって食べて』『ちょうどいい茹で頃だよ』って。おかしいと思わないでくださいね。本当に聞こえるんです」
飲食業にも携わっているこの女性の言葉を私はごくごく普通に聞いていました。ちっともおかしなことじゃないから。
いい素材を目の前にすると、「どう料理しようかな」と考えるわけですが、同時に素材が語りかけてくることがあります。「こうしてみたら?」と。とことん料理が好きな人なら、きっと似たような経験をしているはず。
Di stagione in stagione la terra mi parla, mi ascolta, mi risponde. Il nostro è un dialogo silenzioso e autentico.
(英語)Season after season, the earth talks to me, listens to me, answers me. Ours is a silent and authentic dialogue.
(日本語)大地は私に語りかけ、耳を傾け、答えてくれる。静かな、そして真の会話。
アリアンナ・オッキピンティさんも同様です。土の声を聞き、土と会話をして農作物を作っています。こうしてできたワインやパスタもまた、飲む人・食べる人に語りかけてきます。実際、私もオッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアの声に導かれるようにして、4種のパスタ・3種のスープを作りました。
オーガニック食品、自然食品の多くがそうであるように、このオッキピンティ スパゲッティ ディ トゥミニアも味気ないといえば味気ない。けど、妙に何かを語りかけてきます。そして、こちらの創作意欲を掻き立てます。だからこそ世界中で支持されているのでしょう。
オーガニック食品、自然食品などに興味のある方はもちろん、料理が好きな方もぜひ一度。声が聞こえてくる料理素材――なんだかワクワクしませんか?w
最後に、アリアンナ・オッキピンティさんのバックボーンについて詳しく知りたい方はアリアンナ・オッキピンティワインのインポーター、ヴィナイオータの紹介文をご参照ください。彼女の思想や人柄がよくわかりますよ。