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牛太郎(武蔵小山)でブドー酒を飲みながらつまむモツは激安で激ウマだった~裸電球が照らし出す、ゆるやかな時の流れ

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「仂く人の酒場 牛太郎」

赤い文字がなんとも。いい雰囲気。暖簾は「牛」の部分が破れてしまっています。ただ、暖簾は何度か変わっています。年季というよりも、いかに人の出入りが多いかを表しているのでしょう。単に出し入れする時に引っかけちゃった、ということも考えられますがw

武蔵小山駅から徒歩5分。都道420号(補助26号線)を渡った先にある飲食店が軒を連ねる筋に牛太郎(ぎゅうたろう)という老舗居酒屋があります。吉田類氏も『酒場放浪記』で訪れています。閉まるのが早いし、夕方以降はいつも混んでいてなかなか行けなかったのですが、時間を見つけて早い時間に行ってきました。

※2022年7月16日追記:2022年7月中旬に一度閉店。その後、基本的には常連さんだけが入れるお店になったと聞いています。追記以上

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店内は大きなコの字カウンター。椅子はベンチシート。基本的には常連さんばかり。若い人もいればご年配もいらっしゃいます。まずはホッピーと、煮込み、ガツ酢、とんちゃんを頼みました。

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煮込みは白モツがメイン。ハツの切れ端も混ざっていました。トロトロ。かすかに玉ねぎが残っています。奥深い甘さは野菜からも由来しているのでしょう。うまみが濃厚。

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ガツ酢はいわゆるガツポンのようなもの。カラシ、ニンニク、ネギが添えられています。ネギが完全に切れていなくてつながっていたりするのですが、それもまたオツなもの。コリッとしててサッパリ。極上です。

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とんちゃんは煮込まれたガツでしょうかね。串やガツ酢にできなかった部分を使ってる感じ。もしかしたら、違う部位も混ざっているかもしれません。ニンニクやニラの入ったタレがからまっています。コリっとした食感が心地いい。

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さて、もつ焼きを頼みますか。メニューには「もつ焼き」としか書いていません。まあ、あるものはだいたい想像がつくのですが、一応、何があるのか確認したいなぁ……。

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あ。ああ。あんなとこにw カシラとシロを注文しました。

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カシラは肉感たっぷり。食べごたえがあります。シロはプルプル。いいモツです。やっぱり人気店だとネタがいいんですよね。回転しますから。もつ焼きの味を決めるのは、素材のよさや焼き方の腕などもありますが、大きいのは回転ですな。大量に仕入れられるってのも重要なことなんですが。

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二杯目はどうしよう。ガラナハイボールもうまそうだし……。お? おおお?

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ブ、ブドー酒! きゃっはー! テンションあがる~♪ 当然、頼みます。

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ぐふふ。注いでいたのはメルシャンの葡萄物語でした。これは初だな。チビリひと口。うんうん。いいね。いいよ、この甘さ。大好き。そして、こういう酒場にはブドー酒がいいね。

現在、いわゆる"ブドー酒"で一番有名なのはサントリーの赤玉ポートワイン。あ、赤玉スイートワインか。ブドー酒ブームのきっかけを作ったのは1886年に商標登録された蜂印香竄葡萄酒(ハチブドー酒)。こいつを開発したのは神谷伝兵衛。浅草の神谷バーの創設者ですよ。

日本で葡萄酒といえば、ブドー酒だったんです。このあまーい味が庶民に愛されていたんです。老舗名店でもつ焼きを食べながらブドー酒。これぞ正統なる居酒屋飲み。

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天井から吊り下げられた裸電球。伝票を留める木のクリップ。すすけた壁。黒光りしている大きなこけし。うまいモツ料理とブドー酒。うーん、いい。振り返るとwi-fiルーターがあるのも逆にいい。

この佇まいは一朝一夕にできるものじゃない。時代が進み、積み重なり、そして流れていって醸し出されます。歴史ってのは分厚いものなんだねぇ。

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武蔵小山といえば再開発。タワーマンションが建設中です。

一気になくし、ゼロからスタート。それもまあ仕方のないことでしょう。けど、ゆるやかに、ゆっくりと地層のごとく積み重なる歴史が感じられる、そんな景色もまた残っていてもらいたいものです。

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