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すし処 小倉(学芸大学)のシャリが小さい寿司と素材を活かしたつまみは日本酒が進みます。〆サバは妖艶でした。

すし処 小倉の妖艶な〆サバ握り

つまみと握りを好みに合わせて組み立てる

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学芸大学駅から徒歩3分。バス通り沿い、上海菜館の隣にすし処 小倉という寿司屋があります。

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すし処 羽生(自由が丘/閉店)で修業していた大将・小倉一秋さんが独立後、2008年にすし処 小倉をオープンさせました。後ほどわかったことですが、小倉さんは私と同い年、昭和48年生まれ(千葉県野田市出身)。

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L字カウンター10席ほど。明るく開放感のある店内です。

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メニューはありません。多くの方はおまかせにしていると思います。おまかせにすると、つまみが数種出て、その後に握りが5貫ほど。まだ食べたければ好きなネタを追加でお願いするという感じでしょう。もちろん握りだけ頼むこともできるはずです。

最初に「どうされますか?」と聞かれるので、希望を伝えるなり、相談するなりしてみてください。

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誕生日を祝ってビールで乾杯。そう、この数日後が私の誕生日だったので、お祝いに連れて来てもらったのです。

連れて来てくれた人曰く「学大の寿司屋はほとんど行ったけど、小倉が一番」。すし処 小倉の噂はチラホラと聞いていたので、一度行ってみたいなぁと思っていました。よかった。こんな機会に恵まれて。

日本酒が進む繊細なつまみ

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ホタテとエビ。ホタテは漬けで半生です。色は濃いですが、味は濃くありません。甘いツメをわさびが締めます。エビはまったり。

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かつおのたたきを自家製ポン酢&おろしショウガ&薬味で。ルビーのように輝く立派なかつおは脂が乗っていて、かつおにありがちな血生臭は一切ありません。食べ応えがあります。

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赤貝はぷりっぷり。

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たらこはホクホク、さっぱり。

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カワハギの身と薄皮。肝ポン酢がまあうまい。

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こうなると日本酒が不可避。同伴者が「辛口で」と頼んだところ、福小町(秋田県・木村酒造)が出てきました。

この後、勧められるまま、〆張鶴(新潟県・宮尾酒造)、澤屋 まつもと(京都府・松本酒造)、出雲富士(島根県・富士酒造)の順で飲んだのですが、結果的にこの順がよかったです。日本酒には詳しくないですし、奥様におまかせしたのが正解でした。

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栗は藻塩のような塩で。

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「昨年漬けたからすみです」

ひと口でちょっと驚きました。塩分がかなり少なめです。それだけ抜いてるということなのかなぁ。塩味が薄いので、その分、卵の味が強く感じられました。

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焼き白子は甘くて香ばしい。

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なすの煮びたしのようなものと野菜の浅漬けのようなもの。

全般的に味付けはすっきりです(なす以外)。素材本来のおいしさを味わってほしいという考えからそうなっているのかもしれません。ただ、薄味・繊細ではありますが、物足りないということはありませんでした。むしろ寿司へのいい助走になっているかもしれません。

妖艶な〆サバ

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ここから握り。おまかせで握ってもらうこともできますが、同伴者があれ食べたい・これ食べたいと言うので、私もそれに合わせました。

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いかはしっかりしていてコリッコリ。

シャリは極小。数少ない経験ではありますが、これまで行った寿司屋の中で一番シャリが小さかったです。

ネタには塩や醤油がついているので、基本的に醤油皿に醤油を出す必要はないと思います(何も考えず反射的に出しちゃって後悔。もったいない)。

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うにはたっぷり。日本酒が加速。

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いくらもたっぷり。ダシは効いているのですが、塩味は薄め。その分、魚卵感がとても強いです。からすみと同じ方向性の作り方だと感じました。

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大トロは脂が溶けます。

この大トロも、後ほど出て来るブリも、皮を引かずにブロック状で保存しています。そして握るごとに、その分だけ皮を引いていました(皮だけを残してブロックから身を切り分ける)。

手間はかかりますが、なるべく身を劣化させまいということから、こうしているのでしょう。大将の人柄、仕事に対する姿勢が表れているような気がします。

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コハダは酢の酸味が薄め。甘みがあります。

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ひえぇ。

〆サバの握りは薄いサバが3切れ重ねられ、これをバッテラ昆布(白板昆布)が覆っています。艶めかしさすら感じさせる〆サバです。もっと言えば、なんだかエロい。

味わいはバッテラ昆布のせいかまろやかで、そしてこちらも甘みがあります。

「コハダとサバは甘みを感じます。これはどうしてでしょう」

「脂が乗っているからです」

「脂……」

うーん、それもあるのかもだけど、そういう甘さではないんだよなぁ。

「あ、甘酢を使っています」

それだ。

「〆る時間が相当短いんじゃないですか?」

「日によって違うんですが、今日は塩が1時間、酢が1時間です」

〆が浅めなので、ネタそのものの風味がしっかり。日本酒は光の速度で飲み干されていきます。

なお、帰って調べてわかったことなのですが、バッテラ昆布を使った〆サバはすし処 羽生のスペシャリテだったようです。これを受け継いでいるんですね。

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巨大なエビは肉厚。濃厚。あえて一本そのままにしてもらいましたが、隣の女性は半分に切ってもらっていました。そのほうが食べやすいですよね。

いかとエビは身がしっかりしているので、シャリを少し多めにしてもらえばよかったな、というのは後ほど結果的に感じたこと。次回はそうしてもらおう。私にとってはネタが勝ちすぎていた。

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ブリは脂が全体に回っているのですが、かぼすが使われているので、くどくない。すごいなぁ。

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ホロホロのアナゴ。

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最後は芽ねぎ。かつお節が挟み込まれています。

正直、芽ねぎを頼もうなんて思ったことがありません。なんやねんとw けど、人の注文に乗っかって食べた今回の芽ねぎはことのほかおいしく、これならまた食べたいと思わせてくれました。

時には流されてみることもいいもんだ。何にせよ。

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ずっと気になっていたことがあります。ガリです。こちらも酢の酸味が弱め。おいしくて、めちゃくちゃつまんでしまったのですが、普通のガリとは食感がまるで違います。穂先のようなものもあり、そこはメンマのごとく柔らかい。

「ガリがこんなに柔らかいのはどうしてですか?」

「新芽だからです」

へぇ。こういうショウガ・ガリもあるんだ。勉強になるなぁ。

"ならでは"のある寿司屋

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シャリは小さかったですが、お腹的には大満足でした。というか、お腹いっぱいで2軒目のバーではしばらくお酒が進みませんでした。なーんでだろ。焼肉もそうなんですが、いいものって不思議と少量でもお腹が満たされますよねぇ。

会計は一人1万8000円ほどだったと思います(ごちそうになったので不確か)。握りを11種も頼みましたし、同伴者の一人は寿司をそれぞれ2貫ずつ食べていました。また、先述の通りかなり飲んでいます。ですから少し高めになっていたんじゃないでしょうか。普通は1万円~1万5000円くらいかな?

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素材を活かす繊細な味付け。小さなシャリ。酸味をあまり感じさせない〆具合。バッテラ昆布を使った妖艶な〆サバ……。

「そうそう、小倉といえばこれだよねぇ」

小倉ならでは、小倉らしさ、つまりはその店の個性がハッキリ見て取れる寿司屋だと感じました。いい店にはちゃんと"型"があるんだなぁ。

大将と奥様の雰囲気も素敵で、リラックして寿司を堪能できます。デートに、何かのお祝いに、一度行ってみてはいかがでしょうか。行きつけの寿司屋を探しているという方もぜひ。

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