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学芸大学の朝日屋(鷹番)の長いそばは冷たくて、しっかり締っていてのど越しがいい~朝日屋の歴史・そば屋の暖簾会

朝日屋(鷹番)は朝日屋のサラブレッド

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学芸大学駅から徒歩5分強。目黒通りから少し入った、鷹番小学校の裏手にある朝日屋(鷹番)。

ご実家は大鳥神社近くの朝日屋です。朝日屋(大鳥神社前)の店主は朝日屋会の元会長だったのだとか。そんなお店を実家に持つ店ですから、ある意味、サラブレッドですな。

ちなみに碑文谷にも朝日屋があるのですが、両者は同じ朝日屋の暖簾会というだけで関係はありません。

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看板には「百」のマーク。これがあるということは、朝日会に所属している(いた)ということです。

扉の左側には橘の家紋があります。他の朝日屋でもたまーに見かけます。なんだろうな。ま、いいや。

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こざっぱりとした店内。こちらにも「百」のロゴが見えます。

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もり(570円)を注文しました。チラッチラッと奥の様子をうかがいます。茹で終えた後、しっかりと水で冷やしているようです。出てきたのがこちら。

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ピカピカ、ツルツルできれい。まずはそのままひとく……おおう、長げぇw 超絶長い。行儀悪いですが、箸で高々と持ち上げても先端が見えてきません。どうやって食おうかw

ま、最初は何もつけませんから、とりあえずすすっちゃいましょう。舌触り、喉越しはツルっとしています。とっても冷えていて、そばがギュっと締まってます。これがいい。そばの香りはあまりしませんが、機械打ちにしては上出来すぎ。

半分ほどはそのまま食べ、残りはツユにつけます。が、先述の通り、先端まで持ち上げられませんから、仕方なく、箸でつまんだ部分を強引にツユにつけ、すすりました。

ちょいとツユが甘すぎるかな。けど、これは好みか。

この値段でこのレベル。いいですねぇ。この界隈の機械打ちそばでは、私が食べた限りではかなりいいほうです。

「朝日屋」の屋号・歴史・暖簾会

学芸大学にはそばの朝日屋が二軒あります。鷹番小学校の裏手とイオンスタイル碑文谷(旧ダイエー碑文谷店)の裏手です。この記事では便宜的に朝日屋(鷹番)、朝日屋(碑文谷)と書きわけます。

そば屋の暖簾会(のれん会)って?

同じ名前のそば屋ってありますよね。学芸大学界隈だったら、朝日屋、松月庵、大むらなんかをよく見かけます。これらはおのおのの暖簾会(のれん会)に所属しています。朝日屋会、東京松月庵麺類協同組合、大むら親子会などなど。

基本的には店で修業して、独立して、"暖簾分け"して、暖簾会に所属して、というコースをたどります。暖簾会に所属していると、新規に開店する際に手伝ってもらえたり、道具やらなんやらを提供してもらえたり、経営が厳しい時にはお互いに助け合ったり、なんてことをしてもらえるようです。各暖簾会が所有するロゴマークが使えたりもします。

いわゆるフランチャイズと違う点は、拘束がそれほど厳しくなく、独自にメニューを考えたりできるなど、裁量が各店に大きく任されているということ。そして、会費は少々あるかもしれませんが、ロイヤリティみたいなものが基本的には発生しないということです。ゆるやかな互助会、懇親会といった感じでしょうか。

以上はあくまでも原則。例外もあります。その最たる例が学芸大学駅近くの松月庵。ここは東京松月庵麺類協同組合に所属していません。もともとは松月庵で修業していた方が開業したのでしょうけど、同組合には所属せず、独自に店を経営しています。ですから、この松月庵には同組合のロゴマークが一切ありません。

街場のそば屋と高級そば屋

以下も基本的には、という話で、すべてがそう、というわけではないことをご了承下さい。

いわゆる"街場のそば屋"が暖簾会系であることが多いのですが、こうした店は昔からある自宅がそのままそば屋になっていることが多いようです。ところが、高齢化等もあって、暖簾会に所属するそば屋は全国的に見ると減少傾向にあるのではないでしょうか。替わって増えているのが、激安系・立ち食い系とオシャレで本格的な高級手打ちそば屋。激安系・立ち食い系はとりあえず置いておいて。

高級手打ちそば屋は名店と呼ばれる店で修業して独立、みずから名前をつけ、独自に店を構えます。学芸大学付近だと、蕎や 月心(土山人で修業)、いしおか(武蔵野で修業)、吉法師(中山 一茶庵で修業)などなど。

街場のそば屋は機械でそばを練ったり打ったりする機械麺であることが多いです。そばとしてのランクは落ちますが、その分、安いです。せいろだと500円~600円ほどでしょうか。自宅で家賃がかからなかったり、家族経営で人件費がかからなかったり、機械だから手間がかからなかったりで、安くできます。

また、このような店はそば以外のメニューが充実していることもままあります。要は、そば屋というよりも街の和定食屋といった感じで利用してもらっているということですね。ラーメンもうどんもカレーも丼もあって、安くていっぱい食べられて。

一方、高級手打ちそば屋はそれなりに高いです。地域によっても違うでしょうが、最近だとせいろ1枚で1000円ほどしますかね。なぜこれほど高いかというと、高い国産そば粉をたくさん使っていたり、家賃や人件費が高かったり、手間暇がかかっていたりするからです。こういう店はそばを出すだけでも手いっぱいなので、他のメニューはそれほどありません。もしくは逆にコース仕立てにしていたり。やっこがそのいい例でしょう。

ちなみに、"手打ちそば"にはちゃんとした定義があります。詳しくはまた改めて。

朝日屋の歴史

1906年、愛知の農民・成瀬百次郎が上京して、上野駅前のそば屋・稲廼屋(いねのや)に奉公しました。これが朝日屋会の発端です。

1908年、百次郎の兄・菊蔵が上京して、同店で働くようになります。そして1909年、独立した菊蔵が朝日屋一号店を開業します。その後、長兄・松平も上京して、1912年、茅場町に朝日屋二号店を開業しました。実質的には朝日屋会はこの頃から活動を活発化させていったのだと思われます。成瀬一族は続々と暖簾分けしていきました。

1912年、上野にいた成瀬一家の店が渋谷・道玄坂に移転して、屋号を朝日屋としました。この店は現在も総本店として残っています。

ここから朝日屋会はその店舗数をどんどん増やしていき、最盛期には120店舗ほどが所属していたとも言われています。

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鷹番の朝日屋の店頭に掲げられている朝日屋会会員証

なお、朝日屋のマークは「百」。百次郎の"百"からきているのでしょう。ただ、商標として登録されているかどうかは不明。商標検索しても引っかかりませんでした。

ところで、朝日屋を語る上で忘れてはいけないのが出前機です。

そば屋やラーメン屋などのバイクの後ろについているアレ。実は、発明したのが成瀬一族と血縁関係にある當麻庄司(とうましょうじ)。彼もまた朝日屋の店主でした。この出前機が東京オリンピックの聖火リレーに役立った、という話しは他所に譲りましょう。

余談ですが、これまで私が行ったことのある朝日屋は恵比寿駅前と代官山・猿楽町の二店。恵比寿ではそばも食べましたが、どうだったか覚えていません。猿楽町ではカツ丼を食べた記憶があります。確かそばは食べていないはず。

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