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楽観(武蔵小山)の八王子ラーメン・琥珀の上質なスープと芳醇な麺が奏でる多重奏~ゴールデン街時代の「凪」との思い出

いきなり横道。

2005年8月某日。その頃は毎晩のようにゴールデン街で飲み歩いていました。その日もハシゴをしていたら、ある一軒がラーメン屋になっていました。ラーメンBar 凪という店です。その店は普段はブレンバスタという飲み屋のはず。

「火曜日だけラーメン屋になってます。ラーメン屋を開きたくて店舗を探している最中なんですよ。で、いまは勉強のため、毎週違うラーメンを作って、ここで出しています。店を出したら豚骨と醤油をやりたいですねぇ。オープンしたら来て下さい(笑)」

と店主。そんな凪は今や海外にも何店舗も出している大人気店になっています。

ゴールデン街の凪には何度か行きました。そして、ある晩に供されたのが、醤油スープで、ごついチャーシューと生の玉ねぎのみじん切りがたっぷり入っているラーメンです。

「八王子で流行っているラーメンなんですよ」

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少し濃いめの醤油味が玉ねぎの甘さで中和される、なんとも不思議でおいしいラーメンでした。これが私にとって初の八王子ラーメン。先ほど調べてわかったのですが、ちょうどその頃に"八王子ラーメン"という名前が誕生し、八王子の町おこしで利用され始めたそうです。

以来、何度か八王子ラーメンを食べました。おいしいっちゃあおいしいんですが、進んで選ぶこともありませんでした。今回、楽観に行くまでは。

「このラーメン知ってる?」

そう言ってスマホを見せてきたのは、Bar BULLBULLのママ・マミさん。無類のラーメン好きです。写真にはラーメンが写っていました。丼には楽観の文字。

「ああ、楽観じゃん。武蔵小山の。気になってるんだけど、まだ行ったことないんだよねぇ」

「ほんと? おいしかったよぉ」

数え切れないほどのラーメン屋があります。前を通って気になっている店もいくつもあります。けど、なかなか足が向きません。この歳になるとねぇ。ラーメン食べると、その日はもう終了~。だから、失敗したくない。ラーメン屋選びには慎重になっとります。

じゃあ、何が決め手となって行くかというと、近い人からのこういう口コミです。うん、いいきっかけだ。本当に気になっていたし行ってみるか。

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長い横道からようやく本道へ。その本道は武蔵小山駅から徒歩5分程度で着く平和通りです。パルム商店街とは逆方面、駅のすぐ前にある都立小山台高等学校の向こう側、かむろ坂の一本裏手を東西に伸びる平和通り。目黒本町五丁目の交差点より西は平和通り商店街といって、それなりに栄えています。が、東側はちょい微妙w

そんな平和通りの東部にあるのが楽観です。豚太郎(とんたろう)のすぐ近く。

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このコバルトブルーに郷愁を覚えます。バイファムはもっとグレーぽいよな。ダンバインじゃないし、レイズナーでもないし、ボトムズでもないし……。ダグラムか? なんとなく、これらのロボットがごっちゃになって、コバルトブルーを見ると、プラモデルにラッカーを塗っていた小学生時代を思い出してしまうのです。また横道ですね。すみませんw

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広々としたきれいな店内にはフワッと魚介系の香りが漂っています。店頭と食券機には「本日、終了限定にて醤油の煮干しつけ麺やってます」と書かれています。悩ましいですが、初訪ですからスタンダードでいきましょう。選んだのは醤油味の琥珀。店主に食券を渡します。しばらくするとラーメンが運ばれてきました。

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まずはスープをひと口。私の記憶が混乱します。これが八王子ラーメンかどうかはわかりませんが、私が食べてきたこの見た目の八王子ラーメンは、しょっぱめでした。しかし、楽観のスープは違います。オーソドックスな醤油ラーメンに比べれば濃いですが、しょっぱくはありません。それよりもスープのコクが前面に出ています。鶏と魚介でしょうか。濃厚。芳醇。これはいいスープだ。うまい!

次に麺をひとすすり。ストレートの少し堅めの麺は小麦の風味もしっかりしています。麺は濃厚なスープをまとい、口の中は幸福感で満たされます。

そして玉ねぎ。甘くてシャクシャクな玉ねぎは、味と食感にいいアクセントを与えています。

ダメ押しは表面を炙ったチャーシュー。ホロっと崩れるチャーシューはとても香ばしく、玉ねぎの甘さ、スープのコクに違う表情をもたらします。

シンプルなラーメンですが、なんて奥が深いんでしょう。何重にもおいしさが積み上げられていきます。すごいな。

食べ終えた時、客は私一人でした。店主とのチークタイムw

「ほんとおいしいですね」

「ありがとうございます」

「玉ねぎというと八王子ラーメンを思い出すんですが」

「立川にお店があって、そこから暖簾分けしたんです。スープは4日間煮込んでるんですよ」

八王子の北が立川。なるほど、近いし一応、八王子ラーメンということになるのかな?

「塩の"パール"もおいしいんで、またぜひ来て下さい。こちらポイントカードです」

「ありがとうございます。また来ます。ごちそうさまでした」

帰って軽く調べてみたら、楽観にはアルス 南青山(乃木坂)という姉妹店もあるのだとか。こちらはダシをテーマにした創作料理のお店。ここでもラーメンが食べられるみたいです。

そして、楽観の麺は凪の麺だそうです。へー。そうだったんだ。これには気づかなかったなぁ。

人生初の八王子ラーメンは凪の生田智志氏が作ったラーメン。数少ない八王子ラーメン経験ですが、八王子ラーメンがこんなにもうまいもんなんだと思わせてくれた楽観で使われていたのが凪の麺。

最初は横道と思っていたのに、いやはや、こんな近くでつながっていたとは。ロボットのくだりは余計でしたけどねw

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