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とん吉(西小山)の昔ながらの気取らないとんかつ、こういうのに出会いたかった!厚切りロースかつ定食はボリュームたっぷりで大満足な定食でした。

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西小山駅から徒歩10分弱。武蔵小山駅からは15分。学芸大学駅からは25分くらいかかりますが、目黒通り以南の碑文谷・目黒本町あたりにお住まいであれば十分歩いて行けます。円融寺通りから一本入った住宅街のど真ん中にポツンとあるとんかつ専門 かつ処 とん吉。

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この角を左に入るととん吉があるわけですが、円融寺通りからでもよく見ると看板が見えるはずです。

とん吉は昭和35年創業の老舗。このあたりのことは後ほど、お母さんに語って頂くことにしましょう。

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2015年9月時点の外観

とん吉はとんかつ屋ではありますが、弁当配達、仕出しもやっています。ある日、それは平日のお昼だったのですが、行こうと思ったら大量の仕出し注文が入っていて臨時休業でした。

この日も暖簾は出ていませんでした。たまたまご主人が表に出てきたので、「店内はやってますか?」とうかがったところ、ご主人は「やってますよ。どうぞ」と言って勝手口へと入っていき、奥さん(?)が暖簾を出し店内の明かりをつけていました。昼の13時過ぎでもこういうことがあるので、ご注意を。

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こじんまりとした店内にはカウンター席とテーブル席があります。

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小上がりの座敷にテーブルを置くパターン。都立大学の大菊総本店も同様。老舗の証。

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1000円札を持って来てください。

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とんかつがメインですが、カキフライ、えびフライ、カニクリームコロッケなどのフライ物をはじめ、ハンバーグ、カレーなどメニューが豊富。

後述しますが、前回はカツカレーを食べました。そのカツと同じではないかもしれませんが、ロースかつランチ(800円)は値段からしても、なんとなく予想がつきます。今回は上 厚切りロースかつ定食(1450円)を頼みました。

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2015年9月撮影

2023年1月現在はレースのカーテンで閉じられていますが、こうして厨房と客席フロアが小窓でつながっている造りを老舗の街場のそば屋や中華料理屋でよく見かけます。いい風情。

厨房内には4人いらっしゃいます。お母さんと思しき方がカツに衣をまとわせ、これを息子さん(?)が揚げます。揚がったカツはお母さんが切り、奥さん(?)が配膳。

「お待たせしました。上 厚切りロースかつ定食です」

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お盆の中央にとんかつプレート。4隅にきっちりと煮物、お新香、ご飯(大盛り/無料)、味噌汁が配されています。なんだこのフォーメーションはw あたかもこれから何かの儀式でも始まりそうな並びです。

昔ながらのとんかつが一番

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ひと口でうなりました。

こういうとんかつに出会いたかった。これがいいんですよ。なんとかポークがどうとか、塩でどうとか、それはそれでおいしいのですが、私はこれが好き。

とんかつの衣はザクッ。肉はこの上なく柔らかいというわけではなく、肉感を残しつつ、けど容易に噛み切れるほどの柔らかさです。

煮物は甘めで食べ応えがあり、味噌汁は豆腐、油揚げ、わかめと具だくさん。ご飯の炊き具合もちょうどいい。キャベツにはゴマドレがかかっていて、青い葉を一枚挟んで見栄え的にもアクセントを加えています。さらにポテサラも。

この年になり、食も細くなってきているのですが、このボリュームでもペロリと平らげてしまいました。おいしくて箸が止まりません。

会計時、お母さんに少し話を聞きました。

「こちらはどれくらいになるんですか?」

「ここに移ってきたのは平成10年だから25年前」

いま和暦西暦換算をしてみたらあってました。どういう。瞬時にこう言えますかね。すごい。

「移ってきたということは……」

「もともとはにこにこ通りだったの」

「にこにこ通りのどのあたりでしょう」

「お花屋さんがあったでしょう。その前」

「お花屋さん? すみません、最近のことしかわからなくて」

「三好寿司はわかる?」

「ええ」

「そのはす向かい。昭和35年からよ」

「昭和35年! 私が生まれるずっと前ですw」

「あらそうw」

「ごちそうさまでした」

お母さんは表までお見送りしてくださいました。

「わざわざ自転車で来ていただいたの?」

ま、まあそうなんですが、学芸大学から西小山なんてしょっちゅう行ってるので、これくらは日常のことなんですが、もちろんその場ではそう答えません。

「あはは。すぐ近くではあるんですけどね」

「またいらしてね。お気をつけて」

「ありがとうございます」

はぁ、なんて素敵なお母さんなんだろう。

とん吉の厚切りロースかつ定食

お手頃だけどボリュームのある、気取らない、実直な、昔ながらのとんかつ。

いやー、うまかったなぁ。ほんとおいしい。私はこういうとんかつが大好きです。

※以上、2023年1月27日加筆

時代とともに歩んできたカツカレー

以下は2015年9月の初訪時に書いたものです。

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"昼のランチ"でいいんです! かわいいじゃないですか。それに、「ランチってなに?」というくらいのご年配もいらっしゃるかもしれない。あえて強調してわかりやすくする。その気持ちが正解なんです。

店内を見回すと、たくさんメニューがあるようですが、とりあえず"昼のランチ"からカツカレーを注文しました。

出てくるまで、なるべく多くの情報を収集します。近隣で工事等をしてらっしゃるであろう人が主な客層のようです。この辺は何気に工事が多いですしね。隣の方はカツ丼ランチを食べています。おいしそう。スーパードライのポスターが貼ってありますから、お酒もあるのでしょう。夜はつまみ的な物もあるのかな? 座敷もあるし、盛り上がる夜もあるんだろうなぁ。

そんなこんなでカツカレーが運ばれてきました。

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カレー自体の量は普通ですが、その他がなかなかボリューミー。サラダにはポテサラが入っていますし、味噌汁にはつみれのようなものも入っています。ポテサラもつみれもできあいです。

カレーはまあ、ほれ、ねw こういう店ですから。いずれにせよとても甘いです。半分ほど食べたところで、カウンターにあった七味を大量投入しました。

カツは揚げておいたもの。サクっと感はないし、ジューシーでもないのですが、これもまあね。

ただ、単に手を抜きたいと考えているわけでもなさそうです。

サラダにパセリやキュウリを添えたり、味噌汁に水菜を加えたり、カレーに乾燥パセリを散らしたりという、よくわからない妙なこだわりを見せています。最初にお茶、食事と一緒に水、というところも。

こういう古い定食屋でよく感じることでもあります。長年やってきて、多くの客が望む形にメニューが落ちつきます。結果、一般的にはちょっと……と思われるようなことが、当たり前のように繰り広げられる。

カレーがぬるいのもあえて、かもしれません。暑さで汗をかいた現場の方々にとっては、熱々、激辛のカレーよりも、これくらいのほうがいいのです。経験上、そうなんです。おそらく。食べ歩きが趣味だなんてぬかすような、こんなしょーもない人間の了見で量ってはいけませぬ。

会計を終えると、みなさんが笑顔で「ありがとうございました」。気持ちのいいお店です。店を出ました。近くに停めておいた自転車に乗り、再び店前を通ると、お母さんが暖簾を片付けていました。時計を見ると12:30。

揚げておいた最後のカツがなくなったのか、あるいは、長年の経験で、連休中の昼はこれくらいになるともうほとんど客は来ないだろう、という読みがあるのか。いや、常連と非常連をふるいにかけるためかもしれないなぁ。

長くやっているからこそ、ひとつひとつのことに理由がある。老舗とはそういうもんです。老舗の奥深さを感じさせられました。

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