「ボア・ラクテ(Voie Lactée)」(西小山)はボリューミーで手頃な惣菜系、本格的っぽいハード系が入り混じる使い勝手のいいパン屋さん。街場のパン屋が人気・有名店に一矢報いた!

まだ食べたことのないパン屋でパンを買ってみよう。というわけで、学芸大学駅周辺はすべて行っていますから、駅から徐々に徐々に離れてあっちへ行ってこっちへ行って。お目当てのパンが見つからず、結局、辿りついたのは西小山。

西小山駅前にあるパン屋「ボア・ラクテ(Voie Lactée)」。voieはフランス語で道・線路。lactéeはミルク(の/のような)。voie lactéeを英語にするとmilky way、つまり天の川。

惣菜系のパンが中心。いろいろあります。お客さんも結構いまして、私がその時見た限りではパニーニが人気のよう。

ただ、レジ横が街場のパン屋としては異彩を放っています。バゲット、パリジャン、フィセル。これはすごい。本格的なパン屋ならいざ知らず、街場のパン屋でここまで分けているのは珍しい。

しかも、見た目、形状、クープはまさしく"パン・トラディショネル"としてのバゲット、パリジャン、フィセルと言って間違いではないものに仕上がっています。

目当てだったパンにちょうどなフィセル、これまた異彩を放つゴツゴツしたクリームチーズカレー、クロワッサンをトレイに乗せてレジへ。

「このカレーパン変わってますね」

「作ってみたら好評で、それ以来、続けて作ってます」

「こちらはどれくらいになるんですか?」

「30年以上になります。もともとはリトルマーメイドだったんですが、独立して、この一店舗だけでやってます」

いつ頃、リトルマーメイドから変わったんだろう。界隈に住んでる人なら知ってるかな。

帰ってリトルマーメイドの商品群を調べてみると、ボア・ラクテにも似たようなパンがありました。経営的には独立していますが、商品の製造(原材料の仕入れ含む)においては、もしかたら何かしらのつながりがあるのかも? いや、わかりませんが、そういうパターンは決して珍しいものではないので。平和通り商店街のパン屋「HOROKUDO(宝録堂)」もそんな感じだし。最近、このあたりのことがとても興味深い。

さて。

こちらがクリームチーズカレーパン。

中にはみっちりとカレーが詰まっていて、白いクリームチーズも見えます。表面はサクッ。中は濃厚なカレーとクリームチーズのほのかなサワーな酸味。ガッツリ。

油感が強いのですが、中のカレーが濃厚なので、一緒に食べると油っこさが緩和されます。ガッツリなパンとしてのバランスがいい。とてもおいしいです。

こちらがクロワッサン。この日は超暑かったんですね。そしたら、クロワッサンの表面がビニール袋に少しくっついていました。これはきっと糖分だ。食べてみても、甘みが強い。そしてバターも強い。大げさに言えばお菓子のようなクロワッサン。

「バターすごっ」

「この甘さは小麦、バターだけじゃないよなぁ。砂糖ぽくね?」

「そうね。いい意味でジャンク」

「まあ、街場のパン屋だからなぁ。逆に西小山の駅前に本格的なパン屋があっても、おばあちゃんたち買ってくれんだろう(笑) その街に合ったパンなんだよ、これは。きっと」

と言いつつ。

フィセルの紙袋を開けてみました。ブワッと香ばしい香りが漏れ広がります。

「これ、香りかいでみな?」

「おお。香ばしいね」

「見た目も"フィセル"って感じでしょ?」

「うん」

「バゲット、パリジャン、フィセルと並んでたんだぜ」

「で、そのカレーパンとクロワッサンでしょ? いろいろあるね(笑)」

「な(笑) まあ、夜食ってみよう」

夜、このフィセルをどうしたかと言いますと。

最近、大好きなバインミーの自作。左が「ボア・ラクテ」のフィセル、右はJEAN FRANCOIS(ジャン・フランソワ)のバゲット。JFはたまたま連れが買って来ていて。どちらのパンも軽くトーストしました。

今回はレバーパテはなし。ヌクマム代わりのナンプラーと砂糖で豚コマを炒めたもの、ニンジンと大根のベトナム風なます、スライスオニオン、パクチーが具で、最後にレモンをひと絞り。

あああ。うますぎる。うますぎるよ。うますぎて、二人でフィセルとバゲット全部食っちまった。

フィセル自体は皮はパリッ、中はふっくら。うん、おいしい。

そりゃね、パンだけを比べたら、フィセルとバゲットの違いはあれど、当然、ジャン・フランソワの圧勝です。そりゃそうだ。相手はMOF(フランス最優秀料理人賞)を受賞してるシェフ(ジャン・フランソワ・ルメルシエ/Jean françois Lemercier)がプロデュースする店。超絶うまい。

だけど。

こうしてバインミーにしたら、私は「ボア・ラクテ」のフィセルで作ったバインミーを選びます。皮がバリッバリのガチのバゲットをバインミーにしている時点で間違ってはいるのですが、街場のパン屋との対戦です。いいハンデ。もろもろを加味して、バインミーにするなら、サンドウィッチ的にしても食べやすい「ボア・ラクテ」のフィセルの勝ち。身がふっくらあるから、何かを挟むと具とのバランスもよくなるね。

世界的に有名なシェフの渋谷・表参道・銀座の超人気店に、西小山の街場のパン屋が勝った!w まあ、めちゃくちゃなマッチメイクなんだけどw

惣菜系はどれもボリューミーでリーズナブル。かと思うと、ちょっと本格的っぽいハード系もある。3種しか食べなかったけど、リトルマーメイドの経験なのかサポートなのか、安定感がある。"昔ながら"とはまた違う、チェーンとも違う、ちょっと進化した使い勝手のいい、今どきの街場のパン屋さん。そんな感じ。

ここでは紹介できなかった、おいしそうなパンがいっぱいありました。近所でまだ行ったことがないという方はぜひ一度。こういうパン屋が家の近くにあるってのはいいですよねぇ。

DATA
店名ボア・ラクテ(Voie Lactée)
住所東京都目黒区原町1-8-5
電話番号03-3711-1610
URL公式サイト

余談。

JEAN FRANCOIS(ジャン・フランソワ)を運営しているのは(株)グルメブランズカンパニー。鳥良、磯丸水産、海南鶏飯食堂、つけめんTETSUなども同グループです(create restaurants holdings)。

で、JFの運営会社グルメブランズカンパニーはもうひとつ人気・有名パン屋を運営しています。

東五反田のBread&Coffee IKEDAYAMA(イケダヤマ)。今回、JFについて調べている際に「ああ、そうだったのか」と。

好みの問題ではありますが、IKEDAYAMAのバゲットはまあ、そこまでおいしいとは思いませんでした。間違いなく、断然、JFのほうがおいしかったです。

機会がありましたら、JEAN FRANCOIS(ジャン・フランソワ)もぜひ。

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