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アンガ食品(武蔵小山)は韓国食材・惣菜・精肉店のお店。安さんがつくる甘くて濃厚な白菜キムチは人生でもっともおいしいキムチでした

小山方面には韓国食材店がチラホラあります。平和通り、二葉フードセンター内の玉川商店、武蔵小山駅向こうのアンガ食品、西小山駅の南にある第一食品、にこま通り商店街のケイスマイル フード(K-SMILE FOOD)。

冷蔵庫に残っている材料でキムチチゲをしたくて、すべてをグルっと回りました。結果、選んだのは……。

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武蔵小山駅から徒歩5分弱。親友会通り商店街にある「アンガ食品」。のちほど調べてわかったのですが、1970年創業の老舗です。

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とてもきれいな店内。

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キムチのほか、精肉、調味料などもあります。

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「白菜キムチを頂きたいんですが、これだと何グラムくらいですか?」

「どれでしょう。このケースのは葉先だけ、ビニール袋に入っているのは葉先も根元もすべて入っていて、こちらはカットしてて、こちらはカットしていません」

な、なるほど。白菜キムチだけでも3種あるのか。ちなみに、ノンカットは130円/100g、カット済みは140円/100gです。葉先はいくらかな。まあ、同じようなものでしょう。この値段はスーパーで売られている一般的なキムチとほぼ同じ値段です。

「チゲにしたいんですけど、どれがいいですか?」

韓国訛りの日本語を話す店頭のかわいらしい女の子は、裏の安さん(後述)と思しき方に聞きに行きます。

「だったら根元からあるものがいいようです」

「じゃあ、カットしてないほうを。あと……キムチチゲにするには他に何か……。たとえば、コチュジャンとかあったほうがいいんですかね」

「キムチだけで大丈夫です」

「そうですか。じゃ、それをお願いします」

余談ですが、「チゲ鍋」という言葉は二重表現なので間違いです。チゲは鍋(鍋料理)という意味ですから、「チゲ鍋」では鍋鍋になってしまいます。飲食店でもメディアでも間違っている例をほんとよく目にしますが。フラダンス、サルサソースも同様ですね。こういう言葉を目にするとほんと頭痛が痛いw

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こちらが買って来た白菜キムチ(ノンカット)。で、帰って袋を開けると、こんな紙が入っていました。

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なんと。そうだったのか。まあでもいいや。いつ食べたっておいしいでしょうしね。買って来た翌日に食べてみました。

袋の中はこうなってます。

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おおう。ひと株丸ごとだ。広げると結構でかい。ニンジンやニラも見えますね。これはキムチを漬けるタレ、キムチソック(ヤンニョム)というものだそう。

まずはそのまま。

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あああ。まじか。やばい。韓国料理は詳しくないですし、キムチ経験値も低いですが、このキムチは確実に、私の人生でもっともおいしいキムチです。うま過ぎる……。

説明書にあった通り。甘めです。それほど辛くはなく、酸味はほとんどありません。それより何より、うまみがすごい。シャクっとした食感もいい。

ヤンニョムには唐辛子、にんにく、りんご、大根、ニンジン、ニラ、ショウガ、ネギ、アミの塩辛、イカの塩辛などが使われているそう。そして、45年かけて完成させたこの味こそが秘伝の味。キムチの要。

スーパーで普通に売られてるキムチって変な甘さや酸味があったりするじゃないですか。あれがどうも嫌いで。けど、このキムチにはそういうのが一切ありません。まろやか。コクがあって濃厚。

今までだっておいしいと思ったキムチはいっぱいあります。でも、「アンガ食品」の白菜キムチは断トツでうまい。すごいなこれは。ある程度うまければ、その先はそれほど差がない、というのが食のよくあるパターン。キムチだって、まあだいたいこれくらいのもんだろうと思っていたら、それを遥かに凌駕しました。くっそうめぇなこりゃ。

※追記:2日目、3日目にも食べて比べてみました。激的に変化するというわけではありません。ほんの少しうまみが増したような気がしましたが、これなら熟成を気にせず、買って来たその日に食べてぜんぜんOKだと思います。追記以上

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次は豚キムチにしてみました。豚バラと白菜キムチを炒めただけ。えげつない。豚とキムチの甘み、うまみがとてつもなく強力なタッグを組んで、私に襲いかかって来ます。

ひとつわかったことがあります。熱を通すと、まろやかさが増します。これはこれでいいのですが、同時に辛みが減ります。ですから、もしかしたら、熱を通すなら辛みを加えるといいかもしれません。辛い物が好きならば。

説明書には醤油を少々などと書かれていましたが、絶対、醤油なんていらない。キムチだけで十分です。

この豚キムチは豚バラ100g、キムチ200gほどです(玉ネギも少々)。昼食としては十分な量。そして、これくらいの量に留めておくべきでしょう。多く作らない方がいいですよ。止まりません。終わりません。果てしなく食べられてしまうから。

最後にキムチチゲ。

何を入れてもいいのですが、一応、入れたものをご紹介。

  • 白菜キムチ
  • 豚バラ
  • 椎茸
  • キャベツ
  • 玉ねぎ
  • もやし
  • 豆苗
  • 豆腐
  • ニンニク
  • 鷹の爪・粉唐辛子

ダシはカツオダシとナンプラーをほんの少し。カナリエキスという韓国の魚醤があって、チゲにもよく使われるのですが、これがナンプラーと似ているらしいので、ナンプラーで十分代用可能だそうです。あとはもちろん、白菜キムチが漬かってるタレも。

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アホですわ。頭がおかしくなりそうなほどうまい。これまで幾度となくキムチチゲを自作してきました。けど、レベルが違う。私が投げるキャッチボールの球と、大谷翔平のストレートくらい違う。

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鍋に入れた各具のうまみ、ダシのうまみも加わるのですが、キムチのうまみがしっかりと一本、ピンと立っている。甘みもあるのですが、足した唐辛子でちょうどいい加減。辛くて甘くて、うまみがある。とにかく、うまみがすごい。やべぇ。なんてものを作ってしまったんだ……。

〆は乾麺。

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ダシを思いっきり吸い込んだ麺。煮詰まって、うまみが凝縮したスープ。もうだめ……。

次の日はキムチもつ鍋&〆雑炊。

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牛もつ(コプチャン)の濃厚な甘み、うまみが加わって、でたらめにうまい。もつ鍋の作り方はこちらでどうぞ。

モツ鍋のモツって何のモツ?どこで購入できるの?初めて自宅でモツ鍋パーティーをするための基礎知識~モツの基本からモツ鍋の作り方までをわかりやすく解説してみました

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キムチってのは不思議な食べ物だなぁ。そのままでも食べるんだけど、調味料としても使われる。ヤンニョムというタレを作っておいて、それでキムチを作り、そのキムチを調味料とするわけですから、二重、三重の仕込みが折り重なっています。

たぶん、調理時間を短くするための工夫なんでしょうね。仕込み段階で時間はかかるけど、こうしておけば調理が楽になる。大家族用の大量の料理もサッとできる。

1970年、安さんが武蔵小山に「マルシン」というお店をオープンさせます。2001年、まだネット通販が浸透していなかった頃に楽天市場に「安さんがつくるキムチ」を出店。

2010年、(株)アンガ食品を設立。さまざまな韓国料理、惣菜、食材を扱っているということから、キムチだけというイメージを払しょくすべく、楽天市場の店舗名も「アンガ食品」に変更。

以上がアンガ食品の略歴です。

武蔵小山といえば、スーパーがたくさんあり、大きな商店街があります。そんな中で個人が商売を続けていくというのは大変なことだったと思います。でも、こだわりの味を追い求め、地元に愛され、少しずつ店舗を大きくしていき、50年近くも続きました。

そうかぁ。50年という"仕込み"がこのキムチのおいしさで、それだけの"準備"をしてくれているからこそ、私たちは簡単に手軽においしいキムチ料理が作れるんですねぇ。

安さん、あなたの50年の努力のおかげで、私は人生でもっともおいしいキムチに出会え、死にそうなほどうまいキムチチゲを作ることができました。ありがとうございます。

武蔵小山の方はもちろん、学芸大学界隈の方もぜひぜひ、アンガ食品の白菜キムチを食べてみて下さい。すごいです。衝撃的です。まっじでうまいから。いや、ほんと一度食べた方がいいって。

SHOP DATA

後地交差点と品川用水、3つの商店街

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青いラインが品川用水

駐輪場から東、アンガ食品を越え、後地(うしろじ)交差点までが親友会通り商店街。同交差点から北へ延びるのが富士見通り睦会。同交差点以東は京栄会。後地交差点を中心に3つの商店街が集まっていて、これらに属している商店の一部は別途、後地商店連合会を形成しています。

学芸大学(あるいは武蔵小山、西小山、祐天寺)周辺の通り名&商店街マップ~通り名、商店街名を知ると街が楽しくなる!

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ずっと昔、この道は品川用水でした。そして、後地交差点あたりで二手に分かれます。交差点から南へ下ったところに、あさひ公園があるのですが、ここには品川用水をイメージした水車のモニュメントがあります。

というように、このあたりは商店街好き、暗渠好きにとって、これまた気が狂いそうになるほどの素晴らしいスポットなのですが、詳しく書き始めると、この5倍ほどの記事になってしまうのでやめておきましょうw

品川用水、羅漢寺川の川跡をさくっと巡ってみる(碑文谷ベーカリー記事内)